1995 Fiscal Year Annual Research Report
急性骨髄性白血病の生物学的特性に基づく病型分類の確立に関する研究
Project/Area Number |
06454346
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
北 堅吉 三重大学, 医学部, 助教授 (90169847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 啓志 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (00209967)
片山 直之 三重大学, 医学部, 助手 (20185812)
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Keywords | 急性骨髄性白血病(AML) / 急性リンパ性白血病(ALL) / 表現型 / 染色体異常 / 造血因子受容体 / 多剤耐性遺伝子 / 幹細胞 / 白血病分類 |
Research Abstract |
研究代表者らは平成7年度内に本研究課題に沿い急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)の形態、表現型、染色体異常、遺伝子変異などについて従来成績と併せその生物学的特性の抽出に努めた。その成果として各症例の分化抗原、増殖因子受容体発現を因子とした統計学的処理(クラスター分類;K means法)にて客観的な5型に分別しうることが判明した。正常血液分化での所見とよく相関し、白血病化標的細胞と可視化細胞とは必ずしも相関しないこと(t(8;21)AMLなど)が明らかとなった。B細胞特異的とされた多剤耐性遺伝子MDR3がCD19陽性AMLで検出され、pre‐B‐ALLとの機能的関係を示唆する所見を得た。CD7陽性白血病と同様AMLとALLの境界を超えた新たな病型分類確立へ重要な知見の一つであった。また、薬剤耐性機構に関与するMDR1遺伝子発現は前治療の有無とは無関係で白血病細胞の本来の性格に帰属することも判明した。このように、AMLの統計学的な5型への分別が可能であったことは本研究の目的であるAMLの生物学的特性に基づく再構築への大きな手掛りを得たと考えている。現在、さらに上述の5病型について臨床的予後の長期的観察を進めている。 現在、本研究期間における関連分野での進展に対応し、マウス幹細胞による増殖動態、分化・増殖関連遺伝子群の制御機構の様式とその異常の研究を進めている。白血病研究では欠落しがちな器官腫瘍的視点からリンパ球系腫瘍についても研究を加えている。これらの成果の一部を平成7年度日本血液学会総会、日本臨床血液学会総会シンポジウム、第18回国際比較白血病学会、国際学術誌に既に公表したり投稿中である。なお、本年度得られた統計的病型が若干の専門性を必要とするため、昨年の医学会総会で公表した試案ともに改善を加え有用かつ簡便な臨床診断法の発表、投稿を鋭意準備中である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Harada H, et al: "A specific chromosome abnormality of f(4:12)(g11‐12;pB) in CD7^+ acute leukemia." British Journal of Haematology. 90. 850-854 (1995)
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[Publications] Nishii. K, et al: "Expression of interleukin‐5 receptors on acute myeloid Leukaemia cells:association with immunophenotype and karyotype." British Journal of Haematology. 91. 169-172 (1995)
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[Publications] Ohno T., et al: "Frequeut expression of shared idiotypes in mantle cell lymphoua and extranodal small lymphocytie lnon‐mantle cell dijbuse small cleaved lymphoma." Leukemia. 9. 1935-1939 (1995)
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[Publications] Tanaka R., et al: "Accelerate cell‐cycling of hematopoietic progenitor cells by growth factors:" Blood. 86. 73-79 (1995)
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[Publications] Yamaguchi M. et al: "Frequeint expression of P‐glycoprotein/MDR1 by nasal T‐cell lymphoma cells." Cancer. 76. 2351-2356 (1995)
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[Publications] Ohishi K, et al: "Accelarated cell‐cycling of hematopoletic progenetors by the fet3 ligand that is modulated by froms forming grbcoth factor‐β." Blood. (印刷中).
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[Publications] 北 堅吉: "悪性リンパ腫(改訂版)" 中外医学社(印刷中),