1995 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣機能cogingに関する研究-卵巣の機能異常・機能低下に係わる遺伝子の解明-
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06454462
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
深谷 孝夫 東北大学, 医学部・附属病院, 助教授 (80133974)
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Keywords | 卵胞発育 / 多嚢胞性卵巣 / 細胞増殖能 / マクロファージ / 卵巣過剰刺激 / 性ステロイドホルモン合成酵素 |
Research Abstract |
平成6年度の研究では、正常周期卵巣における卵胞発育過程にP450系ステロイド合成酵素転写調節因子、ステロイド酵素と成長因子の発現を検索し、1)卵胞発育過程ではAd4BP、C17α、P450scc、3βHSDが莢膜細胞に発現しandrogenまでの代謝経路が完成、2)さらに顆粒膜細胞にandrogen receptorが発現するとともに、aromataseとestrogen receptorが最終的に発現することが単一卵胞成熟の機序であることを明らかにした。平成7年度の研究では、基礎的検討として、1)卵胞発育過程における細胞増殖能、2)卵胞機能にかかわるマクロファージの関与、3)排卵障害卵巣(多嚢胞性卵巣)における卵胞局所因子の環境、、臨床的検討として、排卵障害卵巣、(多嚢胞性卵巣)にたいする卵巣直接治療と臨床効果などを課題とした。この結果、卵胞には活発な増殖能が卵胞期・黄体期を問わず認められ、次周期の排卵される卵胞は黄体期に準備されていること、さらに機能低下卵胞では増殖能が消失することが判明した。また、これら卵巣機能には、マクロファージが関与していることも明らかになった。多嚢胞性卵巣の局所因子については、基本的に正常卵巣と同様であるが、増殖能を有している卵胞数は正常卵巣と比べおおく認められ、卵巣刺激により過剰刺激症状が発現する機序の一部が解明された。臨床的に多嚢胞性卵巣卵胞を治療した成績では、治療後の妊娠率の向上と過剰刺激症状出現率が減少し、多嚢胞性卵巣に関する基礎的研究の成果が臨床的に確認された。以上の研究により、卵巣機能調節の一端が明らかになったため、次に加齢との関連性についての研究を開始した。本年度は、加齢と卵巣機能のモデルとして、過排卵刺激ラットを用い、過排卵後の卵巣機能の推移を検討した。その結果、過排卵刺激はその後の卵巣機能の回復を明らかに抑制した。この事実がヒトの過排卵時に同様に出現するかについては明らかではない。しかし、加齢と卵巣機能低下に何らかの示唆を与える結果と考えられる。今後、卵巣機能にかかわる遺伝子(ステロイド合成酵素、増殖能など)の研究に着手する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Chales Mansfield,Takao Fukaya et al.: "Bilirubin helpes overcoming the 2-cell block in mouse oocyte cultures" J Assit Repro Gen. 11. 510-514 (1994)
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[Publications] Midori Tamura,Takao Fukaya et al.: "Expression of the EGF family of the growth factors and EGFR in normal cycling human ovaries" Human reproduction. 10. 1891-1896 (1995)
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[Publications] Kazuto Takayama,Takao Fukaya et al: "Immunohistochemical localization of Ad4BP with correlation to steroidogenic enzyme expression in cycling human ovaries and sex-cord stromal tumors" J Clin Endocrinol Metab. 80. 2815-2821 (1995)
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[Publications] Takao Fukaya et al: "Laser vaporization of the ovarian surface in polycystic ovarian disease patients results in reduced ovarian hyperstimulation and improved pregnancy rates" Am J Obstet Gynecol. 173. 119-125 (1995)
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[Publications] 深谷 孝夫: "ヒト卵胞の発育・選択・成熟・閉鎖と局所因子" 日本産婦人科学会雑誌. 47. 726-737 (1995)
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[Publications] Yuko Funayama,Takao Fukaya et al.: "Cell turnover in normal cycling human ovary" J Clin Endocrinol Metab. 81. 828-834 (1996)