1995 Fiscal Year Annual Research Report
矯正臨床における歯の移動に対するモニタリングシステムの開発
Project/Area Number |
06454579
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中村 進治 北海道大学, 歯学部, 教授 (80001791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 徹 北海道大学, 歯学部, 助教授 (40160030)
脇田 稔 北海道大学, 歯学部, 教授 (40018916)
佐藤 嘉晃 北海道大学, 歯学部, 助手 (00250465)
上野 拓郎 北海道大学, 歯学部, 助手 (70250462)
石川 博之 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (20184492)
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Keywords | 歯の移動 / 歯根膜 / 全ヘモグロビン量 / 酸素化ヘモグロビン量 / 光計測 / モニタリング / 至適矯正力 |
Research Abstract |
今年度は、まずネコを用いた歯の移動実験において、近赤外光歯根膜血液量計測装置の至適矯正力の判定に対する有効性について検討した。歯の移動実験は上顎犬歯を対象とし、矯正力の大きさを25g,50g,100g,250gに設定して遠心方向に移動した。また歯根膜の血流動態については、歯の移動開始から14日目および28日目において、歯藻荷重を負荷した際の圧迫側歯頸部歯根膜の全ヘモグロビン量および酵素化ヘモグロビン量の変化を計測した。さらに、28日の時点で歯列模型による歯の移動量の計測を行い、また組織切片を作成して圧迫側歯頸部歯根膜領域の組織変化を観察した。これらの結果、以下の知見から得られた。 1.歯の移動量が大きく矯正力が適度であると考えられた2例(50g例、100g例)では、組織切片の観察から血管の増生や拡張像を認める新生肉芽組織と活発な歯槽骨吸収がみられた。これは歯根膜の血管網の変化により血流量が増加して局所の酸素分圧が上昇した状態であると思われ、新たな荷重に対して全ヘモグロビン量および酸素化ヘモグロビン量ともに大きな変化を示した。 2.歯の移動量が小さく矯正力が弱すぎると考えられた例(25g例)では、新たな荷重に対して酸素化ヘモグロビン量に大きな変化は認められず、また歯の移動量が小さく矯正力が強すぎると考えられた例(250g例)では、全ヘモグロビン量および酸素化ヘモグロビン量ともに全く変化がみられなかった。 以上より本計測系の至適矯正力判定に対する有効性が確認された。そこで現在、半導体レーザ近赤外三波長吸光度測定装置を本計測系に接続して光源をレーザに変え、人体への応用をはかっている。これまでのところ、正常歯根膜について、実験動物と同様の血流動態の計測結果が得られている。
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Research Products
(2 results)