1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454687
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
八杉 貞雄 東京都立大学, 理学部, 教授 (70011591)
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Keywords | ニワトリ胚 / 消化管上皮 / 消化管間充織 / ペプシノゲン遺伝子 / 組織間相互作用 / 発現調節領域 |
Research Abstract |
本研究の課題は、ニワトリ胚において、消化管の内面を覆う内胚葉性上皮に注目し、その形成初期から分化した段階までの間に上皮細胞に発現する遺伝子やタンパク質をを同定し、その部域性との関係を明らかにし、またその発現にたいする間充織の作用を解析することである。平成6年度においては、消化管間充織の上皮細胞分化に対する作用の本質を明らかにするために、上皮-間充織結合実験と、間充織における成長因子の存在、また上皮に特異性に発現する遺伝子に対する間充織作用のメディエーターを解析した。まず、6日胚消化器官と5日胚肺(やはり内胚葉性上皮と内臓板中胚葉由来の間充織から構成される)をとり、上皮と間充織を単離して様々な組み合わせで結合して器官培養し、それぞれの培養片における上皮の分化を、ECPgやスクラーゼの発現を指標として調べた。その結果、正常発生においてECPgが前胃上皮のみに発現する機構は、上皮自体に存在する内在性のECPg発現能と、砂嚢間充織の阻害作用、ならびに前胃間充織の非特異的な支持作用によると結論された。次に、間充織の作用について調べ、とくに肺間充織の作用が上皮細胞の増殖促進作用と密接に関係していること、消化器官間充織にはHGFのような成長因子が存在することを示した。更に、間充織の作用の伝達に関して、6日胚前胃と砂嚢の上皮と間充織を単離し、それぞれを細胞に解離し、上皮細胞にリポフェクションを用いて、ECPg遺伝子の5'上流域にルシフェラーゼまたはガラクトシダーゼの遺伝子をつないだコンストラクトを導入し、上皮細胞と間充織細胞をいろいろの組み合わせで混合して培養した。これにより、ECPg遺伝子の5'上流域1kbがあれば間充織の支持的または抑制的作用は正しく伝達されること、さらに2kbがあると前胃間充織と培養された前胃、砂嚢の上皮におけるリポーター遺伝子の発現は促進されることが明らかになった。これらの結果は、間充織によるECPg遺伝子の発現制御が、この遺伝子の上流域に結合するなんらかの因子に対する作用であることを示唆する。今後はこのような因子の探索に全力を挙げる予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Fukuda,K.,Ichinose,M.,Saiga,H.,Shiokawa,K.,Yasugi,S: "Developmental changes of DNA methylation pattern of embryoric chick pepsinogen gene" J.Biochem.115. 502-506 (1994)
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[Publications] Suda,T.et al.: "The role of gravity in chick embryogenesis" FEBS Letters. 340. 34-48 (1994)
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[Publications] Fukamachi,H.et al.: "Fetal rat glandular stomach epithelial cells differentiate into Surface mucous cells which express cathepsin E in the absence of mesendymal cells in primargcult" Differentiation. 56. 83-89 (1994)
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[Publications] Yasugi,S.: "Regulation of pepsinogen gene expression in epithelial cells of vertebrate Stomach during development" Int.J.Dev,Biol.38. 273-279 (1994)
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[Publications] Fukuda,K.,Ishii,Y.,Saiga,H.,Shiokawa,K.,Yasugi,S.,: "Mesenchymal regulation of epithelial gene expression in developing avian stomachis-flanking region of pepsinogeugene can mediate mesenchymal influence onist express" Development. 120. 3487-3495 (1994)
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[Publications] 八杉 貞雄: "消化器官の分化・形態形成と実験発生学" 遺伝別冊. 6. 117-126 (1994)
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[Publications] 八杉 貞雄: "生物の世界をさぐる" 岩波書店, 149 (1994)
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[Publications] 八杉 貞雄: "生物学を読む" 玉川大学出版部, 185 (1994)