1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06554006
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Research Institution | National Laboratory for High Energy Physics |
Principal Investigator |
高崎 稔 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (70044782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 靖彦 日立電線(株)土浦工場製管部, 部長
横井 哲夫 (株)トーキン, 金属磁性事業部, 部長
野海 博之 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (10222192)
家入 正治 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (50192472)
田中 万博 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (90171743)
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Keywords | 電磁石 / 大強度ビーム輸送 / 大電流導体 / 無機絶縁ケーブル / 耐放射線 |
Research Abstract |
本研究の目的は、大強度ビームラインに使用される電磁石の励磁コイル用線材として、完全に無機物のみによって電気絶縁され、かつ3000アンペア以上の電流を取り扱えるミネラル・インシュレーション・ケーブル(MIC)を開発することである。また開発されたMICを用いて実際の電磁石コイルを製作し、励磁試験を行う事を最終的目標としている。MICはかつてパイ中間子工場の建設期(約20年以前)にその耐放射線性に注目され、数百アンペアまでの電力線が開発され、ビームライン電磁石用線材として使用された実績がある。しかし、来るべきK中間子工場では、ビーム輸送に用いられる磁石のサイズも大型のものが必要とされることから、導体一本あたりの電流も、数千アンペアのものが必要になってくる。また、この技術は加速器ばかりでなく核融合炉の設計、長寿命核種の消滅処理など多大の放射能の発生が予想される他分野の技術開発とも密接に結びつくものと期待される。 MICそのものの製造に関しては、多層インゴットからの引き抜き圧延法を用いた。我々は、これまでに全長数メートル程度の短尺のもののMICの試作に成功しているものの、実用線材である数十メートル規模のものの製造には、これまでの試作に比較しても、かなりの大規模設備の投入を必要とすると思われ、この点については、本研究所近くに工場を有する日立電線(株)の冷間引き抜き圧延設備を用いた(有償)。線材端末部の設計、製作をふくめた線材のコイルへの加工及び加工時の絶縁劣化の測定等については、(株)ト-キンの金属磁性事業部の協力を得た。 平成6年度は、各種断面形状の3000A級MICのサンプル的試作をおこない、曲げ試験等を実施した後、最終的断面形状を決定した。しかる後、最終形状のものの長尺物(60m程度)の一本以上の製作を試みた。設備との関連で長尺の製造は非常に難しかったが、既存設備の範囲内での最大許容電流値の達成をめざした。最終的な量産とコイル形成、既存鉄芯との組み合わせた励磁試験は来年度に実施する。 初年度の成果は、本年6月のフィンランドで行われる第14回電磁石技術国際会議で発表する予定である。
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