1996 Fiscal Year Annual Research Report
農業水利が内蔵している環境保全機能の地域規模での評価と有効化-その標準技法の整備-
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06556040
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Research Institution | NIHON UNIVERSITY |
Principal Investigator |
河野 英一 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20096811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 邦彦 筑波大学, 社会工学系, 講師 (60182804)
石川 重雄 日本大学, 農獣医学部, 助教授 (30147673)
白岩 隆己 日本大学, 農獣医学部, 教授 (40059225)
木ノ瀬 紘一 茨城大学, 農学部, 教授 (80234326)
中曽根 英雄 茨城大学, 農学部, 教授 (70015783)
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Keywords | 跳水・露出射流爆気効果 / L-Q式 / 流速分布 / 窒素除去機能 / 浄化機能 / 最尤法分類 / 植生指数(NDVI) / リモートセンシング |
Research Abstract |
近年、農村地域の環境保全の諸方策が各方面から重視されてきている。本研究グループでは、特に農村地域に張りめぐらされている農業水利システムが、環境保全に向けての一つの有力な施設と考え、水路の水質浄化機能、圃場の環境保全機能、さらには人工衛星による地域環境の評価方法等、三つの研究課題について、平成6年度から平成8年度まで研究を実施した。その研究成果の主な概要は以下の通りである。 1.水路系の環境保全機能の評価と有効化:(1)小河川、水路等の浄化機能を高めるには溶存酸素が必要である。本研究では、堰の流れを跳水、露出射流の二形態に区別し、それぞれの曝気機能を実験的に捉え、曝気に関わる水理量の関係を把握し、理論的検討を行った。特に跳水については環境浄化に向けて有効性が高いことが確認され、浄化計画に対応する水理設計の方向が示された。但し、露出射流については、曝気の基礎理論を含め、検討すぺき点が残された。(2)用排水路系の中で、農業が流域に展開し、その農業集水域から用排水路系に流出す汚濁負荷量を算定する方法として、簡便なL-Q式を使用する場合の問題点と具体的な改善方法を検討した。その結果、水田が集水域内に40%以上占める場合には、灌漑期と非灌漑期に分割してL-Q式を作成し、用排水路系の水質環境を評価すべきことを明らにした。(3)従来の農業水路系では、流れを効率よく流下させるために、水路内か植生や石礫等を排除してきた。しかし、近年の環境保全機能を考えた用水路には、こられらを積極的に取り込み、自然環境の河川に近い機能を回復させることが要請されている。そのような水路系を設計するとき、従来の実用的な計算法では、十分な精度で水理計算が出来ない。本研究では、植生群が存在する場合の水路設計に必要な、植生群が流速分布や水位変化に与える影響を推定する方法を開発した。 2.圃場系の環境保全機能の評価と有効化:圃場(水田)が治水、保水、土壌保全などの環境保全機能を有することは、本担当者等によってかなり解明された。しかも、最近ではこれに加え、水質保全機能が注目を浴びるようになってきた。それは湛水土壌系における脱窒を主体とする窒素除去機能が水田に備わっていることによるもので、農村地域の多肥や畜産などに起因する高濃度の硝酸汚染水を低濃度化するために活用され、重要性が増してきている。そこで、本研究では調査、実験を通じて窒素除去機能の定量化図り、環境保全機能の評価のための指標を示した。 3.衛星画像による地域環境評価:ランドサットデーター、ノアデーター等を取り上げ、土地利用分類、水質および植生指数等の有効性を検証し、地域環境の評価値としての妥協性を検討した。特にノアデーターを用いての解析では大地域画像であるため、その細分化は、現場との照応において一般化が難しい状況にあるが、グローバルな植生分類は可能であり、また気候変化による地域被覆の移動・消長の状況等を地球規模で捉えることができ、さらにその変動に伴う二酸化炭素固定量の変化を概略把握することが可能となった。
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Research Products
(26 results)
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[Publications] 志村 博康: "渇水に対する対応と課題" 水道協会雑誌. 7. 80-85 (1995)
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[Publications] 志村 博康: "水利の近代化-水田農耕文化圏の風土的課題-" 学術月報. 48. 12-17 (1995)
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[Publications] 田渕 俊雄: "水田における窒素収支と窒素除去機能-水田稲作農業の生態的考察-" 日本農業研究所. 244-256 (1995)
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[Publications] 田渕 俊雄: "農耕地からの流出水の硝酸態窒素濃度と土地利用との関係" 農業土木学会論文集. 178. 129-135 (1995)
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[Publications] 田渕 俊雄: "湛水土壌系における窒素除去に及ぼす硝酸態窒素濃度と植生の影響" 土壌の物理性. 72. 3-8 (1995)
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[Publications] 中曽根英雄: "灌漑排水のECフラックスの水田による削減とその予測モデルについて" 農業土木学会論文集. 179. 69-77 (1995)
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[Publications] 笹田勝寛・河野英一・石川・重雄: "天然記念物指定地「赤井谷地湿原」の基礎環境と保全と課題" 第9回環境情報科学論文集(別冊). 9. 11-16 (1995)
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[Publications] 吉野 邦彦: "Appreciation of the Recomposition of Mixed' Data in Remote Senseted Images" 写真測量とリモートセンシング. 34. 26-29 (1995)
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[Publications] 吉野 邦彦: "土地被覆分類におけるカテゴリー種の選定方法に関する考察" 農業土木学会大会講演要旨集(平成7年7月). 82-83 (1995)
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[Publications] 近江晶・志村博康・石川重雄: "跳水の曝気効果についての研究" 農業土木学会大会講演要旨集(平成7年7月). 18-19 (1995)
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[Publications] 酒井洋・志村博康・石川重雄: "人工衛星画像による植生の地球被覆状態の変化の追跡(1)" 農業土木学会大会講演要旨集(平成7年7月). 68-69 (1995)
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[Publications] 石川重雄・筑井計成・志村博康: "都市中小河川における水質汚濁機構に関する研究(I)-神奈川県引地川を事例として-" 農業土木学会大会講演要旨集(平成7年7月). 440-441 (1995)
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[Publications] 古川和生・志村博康・石川重雄: "静止状態における再曝気係数に関する検討" 農業土木学会関東支部大会講演要旨集(平成7年11月). 95-97 (1995)
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[Publications] 志村博康・白岩隆己・石川重雄: "三母数対数正規分布の検討と改良分布型の作成" 水文・水資源学会. 9-2. 9-16 (1996)
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[Publications] 中曽根英雄・黒田久雄他1名: "地形連鎖と水田灌漑を有する農業小集水域から流出する水質の徴について" 水環境学会. 19-1. 56-62 (1996)
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[Publications] 吉野 邦彦: "土地被覆カテゴリーの事前確率の最尤法分類への導入効果" 農業土木学会大会講演要旨集(平成8年6月). 460-461 (1996)
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[Publications] 大澤美穂・志村博康・石川重雄: "人工衛星画像による植生の地球被覆状態の変化追跡(2)" 農業土木学会大会講演要旨集(平成8年6月). 462-463 (1996)
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[Publications] 白岩隆己・糸長浩司: "農道整備に関する農民意識について-印旛沼土地改良区の事例-" 農業土木学会大会講演要旨集(平成8年6月). 138-139 (1996)
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[Publications] 木ノ瀬紘一・奥島修二: "浮遊砂を伴う流れの濃度と流速分布推定モデル" 農業土木学会論文集. 183. 113-119 (1996)
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[Publications] 木ノ瀬紘一: "流砂解析のためのκ-ε方程式とその解析例" 農協土木学会論文集. 183. 106-112 (1996)
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[Publications] 奥島修二・木ノ瀬紘一・他1名: "掃流力増強と局所洗掘による河口澪筋維持" 農業土木学会論文集. 184. 153-166 (1996)
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[Publications] 清野 修: "農業集落排水技術の現状と今後の研究開発の方向" 農業土木学会誌. 64-6. 11-16 (1996)
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[Publications] 柴田浩彦・清野 修・他2名: "間欠流入間欠爆気方式の開発研究" 農業土木学会誌. 64-6. 17-22 (1996)
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[Publications] 笹田勝寛・河野英一・石川重雄: "赤井谷地高位泥炭地の保全と水分移動" 土壌の物理性. 75. 11-22 (1996)
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[Publications] 清野 修・江崎友康・他2名: "間欠流入間欠爆気方式の処理特性" 農業土木学会大会講演要旨集(平成8年6月). 738-739 (1996)
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[Publications] TABUSHI.T.and S.HASEGAWA edited: "PADDY FIELDS IN THE WORLD" JSIDER, 353 (1995)