1995 Fiscal Year Annual Research Report
歯周疾患の新たな診査法の確立と治療薬ならびに予防薬の開発に関する研究
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06557098
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 健二 九州大学, 歯学部, 教授 (40091326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 博 九州大学, 歯学部, 助手 (20155774)
國松 和司 長崎大学, 歯学部, 講師 (20170011)
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Keywords | 歯周疾患 / 歯肉溝滲出液 / 臨床評価法の確立 / 治療薬の開発 / 病原性プロテアーゼ / カテプシン / 歯周病原菌 / Porphyromonas gingivalis |
Research Abstract |
歯の喪失を引き起こす歯周疾患は歯科領域のみならず、他の臨床分野においても関連のある重要疾患として重要視されている。歯科臨床において様々な臨床パラメーターが本疾患の診査のために用いられているが、いずれの客観性に乏しく、炎症局所の病勢や活性度を正確に評価し得るものとはなっていない。本研究は本疾患の重要な病原性因子としてのプロテアーゼを同定し、病勢に伴う動態からそれらの本疾患における役割を解明し、治療や予防・診断における有効な方法論を確立することを目的としている。本年度の研究結果は以下のとうりである。 (1)宿主由来の酵素としては、カテプシンG、メダラシン、カテプシンB、カテプシンD、カテプシンEについて検討された。歯肉溝滲出液を用いた研究では、セリンプロテアーゼのカテプシンGおよびメダラシンはともに臨床症状の比較的軽度な段階から大量に進出しており、最大値に達した後は症状に関係なく一定値を維持した。これは新たに滲出してくる酵素量と分解される酵素量の間に一定のバランスが成立したことによると考えられる。また、両酵素はその大部分がセルピンと複合体を形成した高分子型として検出され、プロテアーゼ活性そのものが病勢にどの程度寄与しているのか今後の検討が必要である。カテプシンBおよびカテプシンDと臨床症状の間には正の相関が認められ、しかも、これらはいずれも活性分子として検出された。カテプシンEは滲出液中にはまったく検出されなかった。(2)口腔細菌由来の酵素としては、嫌気性グラム陰性細菌Porphyromonas gingivalisの産生するユニークなシステインプロテアーゼArg-gingipainについて検討された。本酵素の歯肉溝滲出液中の量は臨床症状に比例して増大しており、他の臨床パラメーターともよく相関していた。また、Arg-gingipain対する抗体活性は歯周炎患者血清中に症状の応じて検出されたが、本疾患に罹患していない乳幼児の血清中にはまったく認められなかった。以上の結果は、少なくとも宿主由来のカテプシンBおよびカテプシンDなどのリソソーム性プロテアーゼとならびに口腔細菌由来のArg-gingipainが本疾患の発症や進行過程において重要な役割を担っていることが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kunimatsu K.,et al.: "Identification and possible function of cathepsin G in gingival crevicular fluid from chronic adult periodontitis patients and from experimental gingivitis subjects" J.Periodont.Res.30. 51-57 (1995)
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[Publications] Okamoto K.,et al.: "Structural characterization of argingipain,a novel arginine-specific cysteine proteinase as a major periodontal pathogenic factor from Porphyromonas gingivalis" Arch.Biochem.Biophys.316. 917-925 (1995)
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[Publications] Nakayama K.,et al.: "Construction and characterization of arginine-specific cysteine proteinase(Arg-gingipain)-deficient mutants of Porphyromonas gingivalis.Evidence for significant contribution of Arg-gingipain to virulence." J.Biol.Chem.270. 23619-23626 (1995)
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[Publications] Okamoto K.,et al.: "Isolation and sequencing of two cDNA clones encoding rat spleen cathepsin E and analysis of the activation of purified procathepsin E" Arch.Biochem.Biophys.322. 103-111 (1995)
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[Publications] Yoshimine Y.,et al.: "Specific immunocytochemical localization of cathepsin E at the ruffled border membrane of active osteoclasts" Cell Tissue Res.281. 85-91 (1995)
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[Publications] 山本健二: "歯周病原性プロテアーゼの機能と病態" 日本薬理学雑誌. 105. 345-355 (1995)
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[Publications] Yamamoto K.: "Aspartic Proteinases:Structure,Function,Biology,Biomedical Implication" Plenum Press(New York), 223-229 (1995)
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[Publications] Tsukuba T.,et al.: "Aspartic Proteinases:Stucture,Function,Biology,Biomedical Implication" Plenum Press(New York), 331-334 (1995)