1995 Fiscal Year Annual Research Report
象牙質接着性ラテックスによる知覚過敏症治療剤の開発と実用化
Project/Area Number |
06557100
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Research Institution | INSTUTE FOR MEDICAL AND DENTAL ENGINEERING,TOKYO MEDICAL AND DENTAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中林 宣男 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 教授 (30014020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 弁次 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (00066979)
有田 俊次 サンメディカル(株), 研究部, 部長
田中 志信 山形大学, 工学部, 助教授 (40242218)
渡辺 昭彦 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (30126263)
石原 一彦 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助教授 (90193341)
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Keywords | 歯科材料 / 反応性高分子 / 高分子エマルション / 知覚過敏象牙質 / MMA-スチレンスルホン酸ポリマー / 析出 |
Research Abstract |
歯質反応性部位としてスルホン酸基、耐水性被膜を形成させるために歯科で広く用いられてきたメタクリル酸メチル単位を持つ共重合体(MS共重合体)の水系ラテックスを合成し、歯質に対する反応性及び接着性とその安定性を評価するとともに実用化を目指した。MS共重合体の合成、接着性の基礎的評価についても続けている。高分子型接着材への利用も実用化試験中であるが、このメカニズムを利用して歯の上で安定な被膜を形成させ、それによって知覚過敏症を治療しようという全く新しく画期的なものである。 歯質のハイドロキシアパタイトと反応する部位としてp-スチレンスルホン酸を、安定な被膜を形成する部位としてメタクリル酸メチル(MMA)をそれぞれ選定しMS共重合体を合成した。まずp-スチレンスルホン酸ナトリウムを重合し、これを高分子型エマルション安定剤としてPMSラテックスをつくる、いわゆるソ-プフリー型ラテックス合成法を採用した。この際、MS共重合体の各モノマー単位の組成、分子量を系統的に制御し、効果的に歯質表面で反応し、安定した沈着層を形成するポリマー構造を規定した。MS共重合体ラテックスを牛歯に塗布し、所定時間後(1分以内)、水を除去して歯質上の被膜を乾燥した。この被膜の安定性を処理した歯を口腔内環境を想定した条件においた後、電子顕微鏡観察より調べた。PMSラテックス濃度や処理時間などの検討結果を踏まえ、PMSラテックスを用いた知覚過敏症治療材を試作し、牛歯、人歯に対する被膜形成特性及び操作性の評価を繰り返し、最適な組成を規定した。PMSラテックスを用いた知覚過敏症治療材の試作検討を繰り返し、臨床応用する際の問題点を明らかにした。
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[Publications] 山本隆司、細美靖和、中林宣男、藤井弁次: "歯質反応性エマルジョンの性質と象牙質知覚過敏抑制材料としてのin vitro評価" 歯材器. 14. 23- (1995)
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[Publications] 中林宣男、藤井弁次、堀内博、石川烈、須田英明、山本隆司、細美靖和、戸井田哲也: "歯質反応性エマルジョンの象牙細管封鎖性-SEM観察によるin vitro評価-" 日歯保誌. 38. 1538-1546 (1995)
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[Publications] 中林宣男: "反応性高分子と歯質との接着" 医器材研報. 29. 1-8 (1995)