1994 Fiscal Year Annual Research Report
食品由来の蛋白質-脂質複合体による苦味および臭いのマスキング
Project/Area Number |
06557119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
栗原 堅三 北海道大学, 薬学部, 教授 (00016114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大脇 孝行 エーザイ株式会社, 課長
桂木 能久 花王株式会社, 研究員
庄司 隆行 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (00241349)
柏柳 誠 北海道大学, 薬学部, 助手 (20169436)
松岡 一郎 北海道大学, 薬学部, 助手 (40157269)
三宅 教尚 北海道大学, 薬学部, 助教授 (30133771)
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Keywords | 苦味抑制物質 / フォスファチジン酸 / ラクトグルブリン / リポ蛋白質 / 苦味応答 / カエル / 味神経 / 薬物の苦味 |
Research Abstract |
苦味を呈する薬物は、非常に多い。昔から薬物の苦味を抑制する試みがなされてきたが、有効な方法がなかった。我々は、フォスファチジン酸(PA)とラクトグロブリン(LG)からなるリポ蛋白質(PA-LG)が、苦味を選択的に抑制することを見いだした。まず、カエルの味神経応答を測定することにより、苦味応答を定量的に評価した。舌にあらかじめPA-LGを作用させ、水に溶かした各種の苦味物質を与えた。この結果、調べたほとんどの苦味物質の応答は、顕著に抑制された。ただし、KClやMgCl_2のような塩タイプの苦味は抑制されなかった。また、酸味物質、塩味物質、甘味物質の応答は、抑制されなかった。各種の解析を行った結果、PA-LGは味細胞表面の苦味受容サイトに結合し、苦味物質が受容サイトに結合するのを抑制することがわかった。 次に、被験者を用いて、ヒトの味覚に対するPA-LGの効果を調べた。調べたほとんど物質の苦味が抑制されたのに対し、食塩の塩辛い味や、ショ糖の甘味は全く抑制されなかった。このように、PA-LGは、ヒトの場合にも、有効な苦味抑制剤として使用できることがわかった。ヒトの場合は、苦味物質とPA-LGの混合液の苦味を被験者に評価させた。キニ-ネやデナトニウムのような苦味物質の場合は、溶液内でPA-LGと複合体を形成し苦味を抑制する効果も加味されていることがわかった。これに対し、他の苦味物質の場合は、カエルの場合と同様、PA-LGが苦味受容サイトを塞ぐため、苦味が抑制されると結論した。いずれのメカニズムにしろ、PA-LGがヒトの場合も、苦味を抑制することが明らかになったので、来年度以降は、薬物の苦味を抑制するための応用研究を行う予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Katsuragi: "Lipoprotein which selectively inhibits taste nerve responses to bitter substances" Journal of General Physiology. (印刷中).
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[Publications] Y.Katsuragi: "Selective inhibition of bitter taste of various drugs by lipoprotein" Pharmaceutical Research. (印刷中).
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[Publications] K.Kurihara: "Receptor mechanisms of bitter substances" Physiology & Behavior. 56. 1125-1132 (1994)