1996 Fiscal Year Annual Research Report
新たな臨床診断法を指向したヒト用生体計測ESRの開発
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06557123
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内海 英雄 九州大学, 薬学部, 教授 (20101694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 金苗 日本電子, 研究開発部, 課長
小沢 俊彦 放射線医学総合研究所, 薬理化学部, 部長 (40160858)
桐野 豊 東京大学, 薬学部, 教授 (10012668)
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Keywords | ESR-CT / ラット / 関節炎 / 糖尿病 / ニトロキシドラジカル / 診断機器 / SOD / 遺伝子組換えマウス |
Research Abstract |
前年度までに開発を行ってきた中型ESR-CT装置のヒトへの応用に先立ち、病態モデルラットを用いて本装置による生体内フリーラジカル反応の測定が可能か否かを検討した。 1.アジュバントによる関節炎モデルラットの関節にプローブとしてニトロキシドラジカルを投与し、中型ESR装置で関節部位を測定したところ、腫脹や発赤の程度と相関してプローブの消失速度の増加が観察された。この消失速度の増加は活性酸素消去剤の投与により抑制され、関節部位における活性酸素生成に関連した現象であることが示唆された。また、CT装置との組合せにより、関節部位でのプローブの消失を画像解析したところ、特に炎症部位でプローブの消失速度が速くなることが明らかとなった。 2.ストレプトゾトシンで糖尿病を発症させたラットにニトロキシドラジカルをプローブとして静脈内投与し、上腹部におけるESRシグナルの変化を中型ESR装置で測定した。その結果、糖尿病発症群では対象群と比較して有意なプローブの消失速度の増加が見られ、本装置を用いることによりラット胴部程度の大きさにおいても生体内ラジカル反応を測定できることが示された。 これらのことは、病態発症メカニズムの解明と診断においてESR-CT装置が極めて有用であることを意味する。ヒトへの応用を目指し、女子学生のボランティアの腕に安定ラジカルであるジフェニルピクリルヒドラジルラジカルを付着させ中型ESR-CT装置で測定したところ、このラジカルのESRシグナルを明確に検出することができた。以上の結果は、本装置がヒトのフリーラジカル反応に基づく新しい診断機器として応用されるのも目前であることを示唆するものである。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Hideo Utsumi et al.: "In Vivo ESR Measurement of Free Radical Reactions in Living Animals" Current Topics in Biophysics. 20(1). 41-45 (1996)
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[Publications] Hideo Utsumi et al.: "In Vivo ESR Measurements of Free Radical Reactions in Living Mice" J.Toxicol.Sci.21(5). 293-295 (1996)
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[Publications] Tomokazu Yoshida et al.: "Free Radicals from I-Palmitoy1-2-arachidonoy/phosphatidy/choline Liposomes in Fe^<2+>/Ascorbic Acid Solution" Biol.Pharm.Bull.19(6). 779-782 (1996)
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[Publications] Tetsuo Yamaguchi et al.: "In Vivo ESR Studies on Pharmacokinetics and Metabolism of Parenteral Lipid Emulsion in Living Mice" Pharmaceu.Res.13(5). 729-733 (1996)
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[Publications] 松本謙一郎 他: "アンスラリン塗布マウス皮膚へのUVA照射時のラジカル発生部位の解析" 磁気共鳴と医学. 7. 102-105 (1996)
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[Publications] 竹下啓蔵 他: "マウス肺内ニトロキシルラジカル還元におけるSH化合物の役割-LバンドESRを用いたwhole body測定による検討" 磁気共鳴と医学. 7. 165-168 (1996)
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[Publications] 三浦ゆり 他: "バイオサイエンスESR 1 5.3スピンラベルの速度論的応用" 廣川書店, 18 (1996)
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[Publications] 松本謙一郎 他: "バイオサイエンスESR 1 5.8ESRの画像化法(A)" 廣川書店, 15 (1996)