Research Abstract |
体温リズムが睡眠・覚醒リズムや睡眠構造におよぼす影響の研究は多いが,逆に,睡眠・覚醒リズムの変化が体温リズムにおよぼす影響の研究はきわめて少ない。そこで,ヒトにおいて睡眠・覚醒リズムが体温リズムにおよぼす影響を系統的に研究するために,体温リズムのさまざまな位相で睡眠を負荷し,体温リズムへの影響に違いがあるかどうかを,変化の方向(位相の前進か後退か)と量(アクロフェイズの移動量)について検討した. 平成6年度は,健常成人3名を被験者として,4条件の体温リズムの位相(下降期,最低温期,上昇期,最高温期)で睡眠をとらせ(それぞれ,00-08時,05-13時,11-19時,16-24時),直腸温と活動量を携帯用データ・ロガーによって連続記録し体温リズムの睡眠期による変化を測定した.各条件とも,通常の睡眠覚醒リズム下での体温リズムの測定,異なる位相で睡眠をとったときの測定,睡眠をとった位相による体温リズムの変化の測定,およびその変化からの回復過程をみるための測定の4期を含んでいる.これらの記録は,運動量・摂食量を統制した拘束条件(constant routine)下で行った.直腸温と活動量の他に,脳波と眼球運動を常時テレメータ記録し,睡眠時は,通常の睡眠ポリグラムの他に,心拍,呼吸,皮膚電位活動,指尖脈波を連続記録した.平成6年度に得たデータは,ポリグラフデータなどの生理指標,ビジランステストなどの行動指標についてデータ集計・整理を進めている.また,体温リズムの様々な分析手法のうち,最適な分析法の検討を行っている.
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