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1994 Fiscal Year Annual Research Report

手記分析の方法の開発-生活世界概念との関わりで

Research Project

Project/Area Number 06610165
Research Category

Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)

Research InstitutionShizuoka University

Principal Investigator

栗岡 幹英  静岡大学, 人文学部, 助教授 (20145155)

Keywords生活世界 / 手記 / ライフ・ヒストリー / 質的分析
Research Abstract

今年度は、日本における主観的資料を用いた質的分析のための方法論的議論を中心に検討した。この問題については、1960年代から70年代にかけて、質的分析の方法的根拠と意義をめぐって論争があった。その意義を評価する見田宗介に対して、科学的客観性を疑問視する安田三郎が疑問を投げかけたのである。資料の代表性と解釈の多義性の二点について、質的分析が科学の方法としての要件を備えているかどうかをめぐっておこなわれたこの論争は、充分に展開されることがなかった。
この論争の後、質的分析は主にライフ・ヒストリーの方法として発展した。社会学者のライフ・ヒストリー研究としては、中野卓による一連の業績がある。この中で中野は、社会学的ライフ・ヒストリーの方法として、インフォーマントの提供する情報をその発話の形式を含めて忠実に再現する無作為主義を提唱している。しかしながら、この無作為主義にはそれ以後の若手の研究者から批判が寄せられている。その論点は煎じ詰めれば、無作為主義は社会学者が社会現象の分析を放棄することを意味するのではないか、という疑問に帰着するであろう。インフォーマントの生活世界を再現するという課題は、彼が提出する世界認識をそのまま提示することではないと思われる。
今年度(1994年度)は、これらの方法論的問題について充分考察することができなかったが、関連する成課として論文「冤罪被害者の手記と意識(仮題)」を論文集『現代日本の社会と意識の変貌』((株)慶應通信)の中で発表する予定である。来年度は、以上の方法論的問題に一応の結論を得て、闘病手記を中心に具体的分析を行なうことにしている。

URL: 

Published: 1996-04-08   Modified: 2016-04-21  

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