1996 Fiscal Year Annual Research Report
フランス公教育の組織編制における国・地方関係の歴史構造研究
Project/Area Number |
06610228
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
梅澤 収 静岡大学, 教育学部, 助教授 (90223601)
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Keywords | 公教育 / 地方分権 / 教育権 / 教育行政 / 義務教育 |
Research Abstract |
3年間にわたる本研究は、フランス近代公教育の組織編制の問題を、国・地方の行政権限との関係に焦点を当てて考察することを企図したものである。 第1年次は、歴史的把握とも言うべきもので、1880年代に両者とも基本的構造が確定し、基本的関係が構築されたことを実証すべく研究を進めた。 第2年次は、1980年代(82年法、83年法)の地方分権法によって、この両者の基本構造が法制度的にどのような変容を遂げることになったのかという課題を検討した。 第3年次である今年度は、3年間の締めくくりを意識しながら、大きく次の3つの課題に取り組んだ。 まず第1に、分権化法施行後から既に15年が経過するが、どのような実態や課題があるのかを検討した。特に、公教育に与えたインパクトがどのようなものであったに注目した。 第2に、明治期以降の日本の公教育の組織化と地方自治制度の関連構造について歴史的に整理しながら、フランス的な構造的特質と日本的なそれとを簡単に比較分析した。しかし、まだ大まかなデッサンの段階に留まっている。 第3に、最近の日本の地方分権化の論議の中で、公教育の組織編制の問題はどんな理由でどのように位置づけられているのかを明らかにした。公教育の組織化問題に限定されるが、フランスにおける地方分権化の実施が近代日本にどんな点で参考になるのか、そのもつところの意味について考察した。 以上を含めて、本研究の研究報告書を作成中である。
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