1994 Fiscal Year Annual Research Report
学制実施における前近代的諸学校の近代公学校への連続非連続性に関する実証的研究-旧出雲国(島根県)を中心として-
Project/Area Number |
06610254
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
磯辺 武雄 国士舘大学, 文学部, 教授 (80119065)
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Keywords | 学制 / 郷校 / 教導所 / 桃節山 / 修道館 / 県学校 / 南学 / 西学 |
Research Abstract |
本年度は、旧松江藩儒桃節山(旧出雲国松江藩校修道館の最後の大教授。幕末維新期および廃藩置県後においても、晩年まで県に出任して、教育功績に多大であった人物)の『郷校取調巡郷日記』、『儒学校日記』、『巡郷日記』等々の諸日記類をはじめ、これまで私自身が十余年にわたって発掘収集してきた郷校および教導所、寺子屋等に関する原史料(キャビネ判写真、約7,000枚)を基礎史料として、これまで未調査地域として残っている旧出雲国の意宇郡、能儀郡、神門郡等を中心に、郷校、教導所の設立場所、設置方法、規模、形態、内容および設置分布等について実証的な現地調査をすすめた。 現地調査の中で、南学校導所が神門、意宇、出雲、大原、楯縫、大根島の六郡に設置されていることが明らかにすることができた。また、士卒の女子教育については、四ヶ所の女学校が、修道館直轄のもとで実施されていたことは、農工商の女子教育が教導所において男女の区別を厳重にして教育が実施されていたことをあわせて、実に興味深いものがあった。しかし、「管内十郡各一二所ノ郷校ヲ設ケ」る計画が具体的には、どういう実施計画で具体的に設置されたかについては、一部の地域を除いては、明らかにすることができなかった。 ともあれ、こうした学制公布前の前近代的諸学校の設置状況等について、これまでの先行的研究を大いに補完し得たことは、一つの成果であった。 本研究テーマでは、さらに現地調査を重視しつつ、前近代的諸学校の所在確認と規模等について実態調査をさらにすすめる必要があり、次年度の課題の1つとして残った。
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