1995 Fiscal Year Annual Research Report
清朝中期における旗人と旗地の変貌-尚可喜一族の宗族と旗地所有-
Project/Area Number |
06610345
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Research Institution | TOHOKU-GAKUIN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
細谷 良夫 東北学院大学, 教養学部, 教授 (50042164)
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Keywords | 戸部地畝〓冊 / 尚氏宗譜 / 清文黒図〓 / 尚可喜 / 尚之孝 / 尚之信 / 畿輔旗地 / 王攻祭祀地 |
Research Abstract |
昨年に引き続き『戸部地畝〓冊』を分析し、康煕年間の旗地支給から、乾隆末年に及ぶ尚氏一族の所有した旗地の全貌とその変還の概要を明らかにし得た。尚氏一族の所有地は大きく2分される。その1は遼東半島の海城県であり、それは康煕20年に尚可喜の遺骸を海城県郊外の文安山に尚可喜と尚氏の祖廟が設置され、祖廟を維持・管理するために看攻2牛〓の編成が認められた事に由来する。海城県の旗地は祖廟維持のための祭祀地と看攻牛〓に編成された壮丁に対する給与地である。その2は、尚可喜の長子の尚之孝、三藩の乱平定後に処刑された尚之信の門房を中心とする尚氏一族、及び尚氏に付き従った配下の壮丁で康煕22年に5牛〓の編成が認められた事に由来する。尚氏5牛〓の壮丁には1壮丁30畝の割合で旗地が支給され、北京周辺の順義、東安、通州、交河、楽亭、通州の6州県に尚氏旗地が設置された。 尚氏一族の配下の壮丁旗人は乾隆20年代に「改帰民籍」政策により旗人から民人へと身分が移動した結果、康煕20年代から開発した開墜地の所有権を中心とする係争が頻発する。この所有権をめぐる諸問題を解決するために、これまで未解決の旗人身分の成立過程を太宗朝における尚可喜の清朝来帰にまで遡及して検討する必要があり、現在、『戸部地畝〓冊』に併せて『尚氏宗譜』、光緒11年の『宗譜』再編篶をめぐる一宗族会議記録、康煕末年の溝文『黒図〓』による海城旗地の形成過程を照合して検討中である。
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