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1994 Fiscal Year Annual Research Report

近代シチリアの社会と文化

Research Project

Project/Area Number 06610350
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

北原 敦  北海道大学, 文学部, 教授 (00011297)

Keywordsシチリア / 大土地所有 / アクロ・タウン
Research Abstract

本年度は研究目的・研究計画に従って、まず近代シチリア社会の特徴を検討する課題に取り組んだ。従来のシチリア社会に関する研究は、大土地所有の存続ということを強調してきたけれども、その土地の経営形態や集落の構造についてはあまり検討されてこなかった。私は大土地所有地帯の人々の生活のあり方を調べることから始めたが、そこで判明したのはこの地帯に独特の集落の構造とそれが人々の生活に与えている重要性についてである。つまり、この地帯では人々は通常小高い丘の上に集落を形成して、そこに集中して居住しており、農民も土地から切り離されて、農地とは隔たったところに居住しているのである。広大な土地の上には人家はなく、小高い丘の上に陸の孤島のようにして集落が存在しており、これらの集落は広場を中心にして教会、役場、それに地主や名士たちの豪壮な邸宅が立ち並び、それに続いて商店や職人の仕事場があり、そしてその外側に農民の家屋が密集して建てられている。この集落は農業を基盤とし、農民が多数を占めるという点では農村的だが、住民の社会関係と生活形態において都市的性格を帯びており、両者の要素をあわせもったアグロ・タウンとして成り立っているのである。大土地所有地帯のシチリア社会の特徴はアグロ・タウンという集落構造に集中的に表されていると考えられるのである。つまり、アグロ・タウンは一面では農民と地主の対立する階層的社会である。しかし一方では、パトロン-クライアント関係や血縁関係が網の目のように織りなされて、階層を越えた社会的結合関係が作り出されている社会でもある。こうした性格の社会のなかでどのような文化が形成されるのか、この問題の検討が残された課題となる。

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Published: 1996-04-08   Modified: 2016-04-21  

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