1994 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における農民家族の基礎的実証研究-世帯・経営・生活の総合的把握の試み-
Project/Area Number |
06630057
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
大門 正克 都留文科大学, 文学部, 教授 (70152056)
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Keywords | 家族 / 農民家族 / 世帯 / 教育水準 |
Research Abstract |
1.本研究の課題は、近代日本の農民家族について基礎的実証研究を深め、農民家族の世帯・経営・生活について総合的な把握を試みることにあった。本年度の研究の結果、以下の成果をえた。 2.研究は、『町村是』、小学校史料、壮丁調査史料の3方面の調査を通じてすすめた。明治中期から大正初期に全国各地で作成された『町村是』は、生活水準や家族数、性別・世代別の農業労働形態などを知ることができるものであり、農民家族についての新しい史料として活用できる。この史料の多くは、現在一橋大学に所蔵されており、今年度集中的に複写をおこない、現在、分析中である。 3.『学籍簿』『卒業生台帳』など、保護者の職業や小学校卒業生の進路・就業先などを知ることができる小学校史料については、山梨県中巨摩郡落合村と東京府北多摩郡田無町、岐阜県稲葉郡長良村の3カ所で調査をおこない、史料の撮影・複写をおこなった。 4.兵事関係の壮丁調査史料には、兵役関係の項目以外に、教育程度、生家の資産、家族の構成と人数、小学校卒業後の職業などの項目がふくまれ、20歳時点での青年と家族の関係を知ることができる。現在、山梨県下で1カ村(南都留郡西桂村)撮影・複写をおこない、また石川県の関連史料についても複写をおこなった。 5.以上の調査・研究を通じて、近代日本の農民家族については、今のところ明治中後期と第1次大戦後の2つの時期を中心に検討をすすめている。具体的には、まだ自給的性格を色濃く残していた明治中後期の段階、それが第1次世界大戦後になると生活・労働・経営など諸々の局面で変化し、農家の後継ぎや労働についての意識も変容して、農民家族のあり方は大きく揺らぐことになった。今後は、平成7・8年度に調査を重ね、これらの点の研究をさらにすすめる予定である。
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Research Products
(1 results)