1994 Fiscal Year Annual Research Report
六方晶ABX_3型反強磁性体の強誘電および逐次構造相転移の研究
Project/Area Number |
06640455
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
光井 俊治 帝京大学, 薬学部, 講師 (80112770)
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Keywords | 強誘電体 / 低次元反強磁性体 / 三角格子 / 一次元鎖 / フラストレーション / 構造相転移 / 逐次磁気相転移 |
Research Abstract |
ABX_3型低次元反強磁性体の中で構造相転移を起こす結晶はいろいろある。平成6年度では、ABX_3結晶の1つであるRbMnBr_3が強誘電体であることを見い出したので、この物質の誘電的測定結果をまとめて論文として報告した。現在はRbVBr_3結晶の構造相転移と逐次磁気相転移を誘電率と電気分極の温度変化(9K〜300K)を丁寧に調べている。RbVBr_3結晶は、温度降下とともに、T_c=98Kで無極性の六方晶P6_3/mmcの高温相から焦電性のP6_3cmまたは無極性のP3_<cl>の低温相に構造相転移を起こすという報告があるだけで、詳細な研究報告はない。われわれは静的な焦電荷の測定からRbVBr_3の低温相で焦電気が現れることを測定し、しかも分極反転を観測したことから、この低温相は強誘電的(P6_3cm)であろうと結論している。RbVBr_3結晶が強誘電的であることを他の実験で確認を試みている。T_cにおける誘電率の異常は折れ曲がりを示すだけである。強誘電相転移点で発散的な誘電率の異常を示さないこの物質は珍しいので、RbVBr_3の実験結果の再吟味を続けるている。RbVBr_3の磁気相転移温度は28Kと21Kで、この相転移によると思われる微少な変化を検出している。磁気相転移の情報を得るにはさらに詳しい実験を必要とする。これらの相転移点以外の約18Kで誘電率の実数部分が小さいピークを示すことを観測している。この誘電異常の原因について現在検討中である。 平成7年度では、RbVBr_3の上記の測定結果をもとに構造相転移および逐次磁気相転移の機構についての考察を進めると共に、実験的にはRbVBr_3結晶の誘電率の温度変化がかなり複雑なので、種々の観点からのさらに詳しい誘電率,電気分極,比熱および熱膨張の測定を計画している。この計画が終り次第、RbFeBr_3などの反強磁性体結晶の強誘電性発生の研究を始めたい。
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