1994 Fiscal Year Annual Research Report
大気中の運動・熱エネルギー・プロファイルの精密なレーダー観測に関する研究
Project/Area Number |
06640570
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津田 敏隆 京都大学, 超高層電波研究センター, 助教授 (30115886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 卓司 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (40217857)
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Keywords | エネルギーフラックス / 顕熱 / 潜熱 / 水蒸気プロファイル / 電波屈折率 / レーダー観測 / MUレーダー / RASS |
Research Abstract |
地球大気中の物理化学現象を理解するには、各高度層において太陽放射エネルギーが変換されて輸送される過程を詳しく研究する必要がある。一般に大気は風速変動に伴う運動エネルギー、乾燥・湿潤大気の移流による顕熱・潜熱エネルギーを保有する。大気の上下移動についてエネルギーが保存される場合は、三種のエネルギーに対応して、水平運動量・温位・水蒸気の混合比といった保存量の鉛直フラックスが高度について一定となる。逆にフラックスの高度プラファイルからエネルギーの増減が検出されることになる。 本研究ではMUレーダーによる鉛直風測定と同時に三種の保存量を同時測定し、保存量と鉛直風の共分散から鉛直フラックスが求め、その高度変化を明らかにすることを主課題とした。このためには保存量を高い時間分解能(約1分)で測定する必要がある。水平風速と温度変動についてはMUレーダーとRASS(Radio Acoustic Sounding System)により測定できるのに対して、水蒸気混合比は未だに有効な観測手段がない。本年度はレーダー電波の散乱強度が水蒸気混合比に大きく関与することを利用して、その高度プロファイルにをリモートセンシングする新観測技術の開発を試みた。つまり電波屈折率と水蒸気混合比の関係を理論的に考察し、MUレーダー観測と気球実験の結果を比較した。理論モデルの妥当性は完全には解明できなかったが、水蒸気プロファイルについて有意な結果が得られた。今後観測例を増やして検討を重ねることで観測手法の改良が期待される。
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