1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640613
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
相馬 恒雄 富山大学, 教育学部, 教授 (40019039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 篤 姫路工業大学, 理学部, 助手 (50211917)
椚座 圭太郎 富山大学, 教育学部, 助教授 (30225180)
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Keywords | 飛騨変成岩 / 輝石片麻岩 / 交代作用 / シグマタイト / 機械的混合 / 流体組成 / 脱二酸化炭素反応 / 角閃石 |
Research Abstract |
飛騨帯の岩石の多様性は、石灰岩と塩基性岩との機械的混合による反応やその反応によって発生する水‐二酸化炭素系の流体による流体組成変化が2次的に起こす固相反応や融解反応によって説明されることが明らかになった。平成6年度では、そのような反応過程を示すと考えられる試料を多数入手し解析を開始した。角閃岩と石灰岩の機械的混合による単斜輝石形成反応で放出された二酸化炭素‐水系の流体が母岩の角閃岩の部分融解も引き起こしている例が見い出された。流体組成変化が脱水反応を促進し、それにより系の融点が下がったためと考えられる。機械的混合で形成した輝石片麻岩が花崗岩質マグマに取り込まれ角閃岩化したのち、反応残渣の脱二酸化炭素反応で角閃石化した部分が融解して単斜輝石を形成している例が見い出された。巨視的スケールでの化学組成および流体組成変化や不均質さが反応を次々と誘発している例と考えられる。 機械的混合について岩石学的な意味づけを行った。岩石学的には、機械的混合による反応は、化学組成変化による混合エントロピーで起きたものと説明可能である。流体組成変化がもたらす反応についても、化学組成の変化として同様に扱える。従来の岩石学では、変成作用は等化学組成的に起きるものであり、温度圧力条件の変化を反応の駆動力と考えてきた。しかし、実際の変成帯では、熱の移動や反応熱の問題のため温度の変化は容易ではない。これに対し、化学組成変化による反応は、テクトニックな動きに応じて容易に起きることが期待される。これまであまり気付かれなかったのは、石灰系を含まない反応では、化学組成変化や反応組織が顕著でないためである。交代作用という概念はあいまいであったが、これを化学組成変化がもたらす反応と定義することを提案する。
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