1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640613
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Research Institution | Toyama University |
Principal Investigator |
相馬 恒雄 富山大学, 教育学部, 教授 (40019039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 篤 姫路工業大学, 理学部, 助手 (50211917)
椚座 圭太郎 富山大学, 教育学部, 助教授 (30225180)
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Keywords | 飛騨変成帯 / 単斜輝石 / 片麻岩 / カルクシリケイト / 交代作用 / スカルソ / 流体相 / 大陸 |
Research Abstract |
飛騨変成帯の神岡鉱床は、ヘデン輝石スカルンを伴うとともに、鉱石中から輝石片麻岩の単斜輝石と同じ組成ものが見いだされる。今年度は、単斜輝石の成因論の1つとして、神岡鉱床の単斜輝石の成因を明らかにし、鉱床形成の熱水系モデルを提唱した。母岩の輝石片麻岩と鉱床の関係が観察できる試料について、岩石組織や鉱物の組成累帯構造を検討した所、(1)従来ガ-ネットスカルンとされてきたものは、輝石片麻岩中のガ-ネット層であり、機械的混合による変成反応の後、H2Oに富む熱水の浸透で形成されたものであること、(2)輝石片麻岩の単斜輝石、熱水によるガ-ネットおよび緑れん石は、鉱床形成期の熱水によってFeなどの成分の抽出を被りながら分解したため、熱水脈が形成されたこと、(3)熱水環境が析出条件に転じ、ヘデン輝石、アラナイト、石英、方解石とともにスファレライトが脈を充填していったことがわかった。(4)鉱石中のMgに富む単斜輝石は、輝石片麻岩の単斜輝石が熱水による分解の残査であり、条件の急変によりヘデン輝石が累帯成長している。すなわち、輝石片麻岩は形成後少なくとも2回の熱水作用を被り、単斜輝石の累帯構造はそれらを記録していることが明らかになった。 最終年度であるので、以下のことについて論じ、研究成果報告書を作製した。 ・等化学的でない変成作用の熱力学 ・機械的混合による輝石片麻岩の形成 ・流体相の組成変化がもたらすカルクシリケイト系の連鎖反応 ・流体相からながめる変成作用と交代作用 ・伊西岩の多元成因論 ・大陸の解剖学と物質的進化 ・飛騨変成岩の生成の時空間 ・神岡鉱床の熱水系モデル
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kunugiza et al.: "An Archaean tectonic model of the Dharwar craton,S.India : the origin of the Holenarsipur greenstone belt (the Hussan district,Karnataka) and reinterpretation of the Sargur-Dharwar relationship" J.Southeast Asian Earth Sciences. 14-3/4. 149-160 (1996)
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[Publications] 椚座圭太郎: "神岡鉱床の熱水系モデル:飛騨変成岩からのアプローチ" 資源エネルギー庁広域地質構造調査報告書. 68-83 (1996)
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[Publications] Goto et al.: "XRF analyses of Sanbagawa pelitic schists in central Shikoku,Japan" Mem.Fac.Sci.Kyoto Univ.LVIII. 1-19 (1996)
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[Publications] 相馬恒雄: "富山のジオロジー・富山の大地の成立をさぐる" シ-・エ-・ピ-, 224 (1997)
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[Publications] 相馬恒雄・椚座圭太郎・後藤篤: "流体相化学組成からながめる変成作用と交代作用:飛騨変成作用を理解するために" 富山県「立山博物館」委託研究報告書, 32 (1996)