1995 Fiscal Year Annual Research Report
キレート樹脂を用いる天然水中のバナジウム(IV)、(V)の現場型自動分析法の開発
Project/Area Number |
06640782
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Research Institution | School of Environmental Science, The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
中山 英一郎 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (50108982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 雅人 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (10179179)
柄谷 肇 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手
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Keywords | 天然水 / バナジウム(IV) / バナジウム(V) / アセチルアセトン樹脂 / オキシン樹脂 / 自動分析法 / 接触分析法 |
Research Abstract |
天然水中のバナジウムの動態と生物活動との関係を詳細に研究するため、酸化状態別に定量する方法を検討し、正確かつ迅速に測定するため自動流れ分析法を開発した。まず、バナジウム(IV)、(V)を分離するため種々のキレート樹脂を合成し検討したところ、フッ素を含むシリカゲルにアセチルアセトン基を修飾した樹脂、MAF-AAによって4価と5価がpH2.2〜3.8の広範囲なpH領域で相互に分離できることが明らかとなった。バナジウムの検出には非常に高感度かつ選択性の高いBGL-臭素酸系の接触分析法を用いるが、妨害となる鉄は、フッ素を含むシリカゲルにオキシンを修飾したMAF-8HQ樹脂と上記、MAF-AAを併用することによって除去できることが分かった。これらの結果を踏まえて、上記の2つの樹脂を充填したカラム、試料、緩衝溶液、洗浄液を送るペリスタポンプ、流路を切り換える3方電磁バルブおよび測定の各過程を制御するプログラマブルコントローラーからなる分離濃縮部とブランル-ベ社製のオートアナライザーII型による測定部からなる自動分析装置を製作した。この装置では試料約10mlを用いた場合、検量線が直線を示す範囲は0.05〜15.0nMであった。この装置を用いて、室内実験でバナジウム(IV)、(V)の純水中、海水、湖水における酸化還元反応について検討した結果、通常の天然水中にバナジウム(IV)が存在するという従来の報告は試料を酸性保存したためであり、誤りであることが分かった。さらに、降水、湖水、海水などを新鮮な状態で測定した結果、pHの低い降水中や、硫化水素が発生するような還元的な湖水底層においてのみバナジウム(IV)が存在し得ることが明らかとなった。
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