1996 Fiscal Year Annual Research Report
DNA解析とマトリックス・モデルを用いた多年生植物の個体群動態の研究
Project/Area Number |
06640827
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Research Institution | TOKYO METROPOLITAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
可知 直毅 東京都立大学, 理学部, 助教授 (30124340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 真一 筑波大学, 生物科学系, 助手 (80251015)
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Keywords | 海岸砂丘 / コウボウムギ / Carex Kobomugi / 個体群統計 / PCR法 / マトリックスモデル / 栄養繁殖 / クローナル植物 |
Research Abstract |
1994年にサンプルした種子由来のコウボウムギ実生から採集地別、個体別に抽出した全DNAサンプルについて、RAPD法を用いて遺伝的マーカーのスクリーニングを行った。用いたランダムプライマーはOPERON社の10-baseキットGおよびRの40種類である。まず、ランダムプライマー自体の有効性のスクリーニングを行った。22個体のコウボウムギから抽出したDNAを全て混合した試料に40種類のランダムプライマーを混合し、自動PCR装置(Perkin Elmer,DNA thermal cycler)にかけて増幅を行った。増幅条件は、90℃1分+36℃1分+72℃2分を1サイクルとして35サイクルである。PCR終了後に、増幅されたDNA断片の分離を電気泳動によって行い、そのバンドパターンを紫外線下で観察し、写真を撮った。この結果、半数以上のプライマーについてDNAの良好な増幅が確認された。このうち、5〜7本の明瞭なバンドが検出されたG9、G10、G12、R4、R8、R15の6プライマーを遺伝的マーカーのスクリーニングに用いることにした。それぞれのランダムプライマーによるDNAの増幅パターンには、顕著な地域間変異はみられなかった。一方、留萌の個体間にはR15を除く5つのプライマーで変異が認められ、新潟の一部の個体でも、同様な変異が認められた。以上の結果から、日本全国のコウボウムギは遺伝的には相同性が非常に高く、10-base程度の分解能では差異が検出されないほどであることが明らかになった。一方、地域によっては、地域間変異を上回る遺伝的変異が生ずる可能性があることもわかった。このような地域内変異については、その成因も含めて、さらに解像度のよい解析方法(RFLPなど)により究明する必要がある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nishitomi,S.,Takada,T.& Kachi,N.: "Optimal resource allocation to seeds and vegetative plopagules in an onderstory herb Syneilesis palmata (Compositae)" Plant Species Biology. 10. 127-135 (1995)
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[Publications] Ishikawa,S & Kachi,N.: "Shoot population dynamics of Carex Kobomugi on a coostal sand dune in relation to its zonal distribution" Australian Journal of Botany. (in press). (1997)
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[Publications] 山内章(編): "植物根系の理想型" 博友社, 172 (1996)