1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650574
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Research Institution | Daido Institute of Technology |
Principal Investigator |
下島 栄一 大同工業大学, 工学部, 教授 (80027276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 龍馬 富山県立大学, 短期大学部, 教授 (60027290)
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Keywords | 雨水浸透 / 亀裂堆積岩 / 山体トンネル湧水 / 水質 / 観測 |
Research Abstract |
本研究は、亀裂堆積岩の山体への雨水浸透の仕組みを、和歌山県日高郡由良町にある山腹斜面に掘られたトンネルへの湧水(水量と水質)及びトンネル内の炭酸ガス濃度の測定(センサーは備品として購入)を通して、明らかにすることを目的としている。観測より、以下のことが分かった。 1.トンネルの炭酸ガス濃度と湧水の水質の変化の対応を調べることも本研究計画の一つとなっていたが、平成6年7月以降の少雨のため、湧水は例年になく低い流量値を示し、基底的な流出を構成するmatrix flowの浸透成分が卓越した。ガス測定点付近の湧水の流量と導電率の変化及びガス濃度の変化は良く対応することが認められ、岩盤中の炭酸ガスの増減により、浸透水中のHCO_3^-濃度の増減を介し、湧水の導電率が上昇/降下したと推測できた。隣接する他の湧水観測点での流量と導電率は逆の変化を示し、またこれらの変化とガス濃度変化との対応は悪いことが分かったが、これらの結果は亀裂岩盤の地質的・構造的な複雑さを示唆した。 2.岩盤中の二つの浸透成分(matrix flowとfissure flow)の出現の確認も本計画の目的である。今年度の5月と1月に地震が観測され、湧水の流量と導電率の増加が観測された。これらのデータより、まずmatrix flowによる流量増が起こるが、比較的速く元に回復し、次いでfissure flow成分による流量増がかなり長期間現れ、流量の低減と共に、matrix flowによる流量増が再度現れるという状況が解析された。これより、二つの浸透成分の存在が、新たな側面より確認された。 3.湧水の水質と浸透場の溶出との関係を調べるという研究計画については、トンネル側壁より採取した基岩の小片の溶出実験より、湧水の水質は場の溶出によって形成されることが分かった。
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Research Products
(2 results)