1995 Fiscal Year Annual Research Report
河川水質と都市気候への影響からみた都市河川水熱源の利用可能量に関する研究
Project/Area Number |
06650655
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 安弘 大阪大学, 工学部, 助教授 (20029268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 潤治 大阪大学, 工学部, 助手 (50089877)
水野 稔 大阪大学, 工学部, 教授 (30029269)
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Keywords | 地域冷暖房プラント / 冷却水排水 / 河川水熱源 / 未利用エネルギー / 河川水質 / 河川生態系 / 温排水 / 都市河川 |
Research Abstract |
1.大阪市の大川水系の水温と水質の現況調査 冬期の調査結果と筆者らが行った夏期の実測調査をもとに大川水系の順流域,感潮域,塩水くさびの遡上域といった流況の特徴や,DOなどの水質の現状を明らかにした.また,大川水系には多くの生物種が生息しており,河川水の利用に当たってはこれらの生物の保護を考慮に入れる必要があることを示した. 2.河川水温・水質の予測モデルの開発 地域冷暖房プラントや工場からの温排水流入がない自然状態での河川水温・水質の予測モデルとして2次元流管デモルやMIM手法が有効であることを,計算結果と実測結果との比較によって明らかにした.温排水の流入がある場合には,SIMPLEに基づく3次元数値予測モデルを適用し,河川流量,温排水の放水方式,温排水温度などを計算パラメータとして計算を行い,熱汚染域の広がりや汚染強度などを定量的に求めた.この結果は4の環境影響評価基準に照らして,河川水の利用可能量を決める際の基礎データとなるものである.計算精度は水温と水質の異なる大川と寝屋川の合流部の計算によって検証した. 3.都市微気象への影響 温排水流入による河川水温の変化によって,河川水面からの顕熱放熱並びに潜熱放熱の増加を定量的に明らかにし,都市微気象への影響を検討した. 4.熱源としての河川水の利用可能量の検討 ここでは,環境容量の概念を導入し,大川水系に生息する生物種の保護を考慮に入れた大川独自の基準作りを行った.その際,不確定要素が多いことから温排水の影響レベルを軽微から重大まで3段階に分けて河川水の利用可能量を検討し,河川水の利用可能量を決めるに当たっては,水系の生態系への配慮と温排水の3次元拡散域まで考慮して行うことが重要であることを明らかにした.
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