1995 Fiscal Year Annual Research Report
特養ホーム・病院等の共用空間の活気の構成要素に関する研究
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06650684
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
渡邉 昭彦 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (70042520)
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Keywords | 活気と落ち着き / 空間探索行動 / 空間視 / 空間要素視 / 要素視 |
Research Abstract |
平成7年度は、平成6年度に実施した実験及び分析手法を改良し、より一層の研究手法の確立を図り、実験・分析を行った。主な改良点は(1)特養ホーム、病院で行う被験者の活気・落ち着きの空間探索行動実験の歩行ルートを、施設での実際の利用に少しでも近づけるため、入居者及び入院患者の生活実態調査を綿密に行い、ルート設定を行った。(2)1周回れる廊下を持つ施設では、左回りと右回りで空間の評価が異なると想定されるため、両方の回り方の被験者を設定し、比較を行う。(3)分析では被験者のヘルメットに装着したビデオカメラで録画した視認画像を、秒単位でプリントし、視認物の視認時間を分析できるようにした。以上の様な改良を行い、次の施設の実験により、良好な結果が得られた。 〈実験及び結果の分析〉 上記の様な綿密な実験とし、実験対象施設を特別養護老人ホーム2施設とし、新しく建設され、かつ豊かな空間を持つ愛知県やまゆり荘、岐阜県岐協園とした。被験者数は各施設10人計20人で昨年と同様に行った。 〈空間の大きさと視認〉被験者は空間の大きさと状況によって視認の仕方を変えており「食堂」、「談話コーナー」等の比較的大きい空間では、空間全体を見る「空間視」、空間の1部を見る「空間要素視」、家具等の要素を見る「要素視」が1/3づつとなり、単調な廊下は前を見る「空間視」、中庭等が見える廊下は「空間+要素視」と要素の印象が強い「要素視」になる。 〈施設内の活気と落ち着きの構成要素〉施設内で「活気」を感じさせる要素は、建築構成部位では「天井のデザイン」、「天井の形(吹抜)」、「壁の材質(ガラス等)」、「扉の色」があり、しつらえに関するものでは「掲示物」、天井の照明のデザイン」、「リハビリ器具」があげられ、デザインの変化と色使いで活気を感じさせていることが分かった。「落ち着き」を感じさせる要素は、空間全体では、「材質(木製)」、周辺環境で「外の景色」、建築構成部位では「壁の材質(木製)」、「床(木目調)」、「手摺」、「居室の扉(木製)」、「座敷の畳」があり、しつらえでは「風景画」、「植栽」、「家具類」はそのほとんどが落ち着きと評価されている。以上の結果から、今後施設を計画していく場合の、構成の手法を明らかにすることができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 渡邉昭彦 他: "空間探索行動実験による活気・落ち着きの構成要素の研究-特別養護老人ホームのケーススタディ" 日本建築学会第13回地域施設計画シンポジューム論文集. 13. 215-224 (1995)
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[Publications] 渡邉昭彦 他: "空間探索行動実験による活気と落ち着きの構成要素に関する研究-病院の病棟と検査部のケーススタディ" 日本建築学会第13回地域施設計画シンポジューム論文集. 13. 225-234 (1995)
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[Publications] 渡邉昭彦,滝澤雄三他: "特別養護老人ホームの「活気・落ち着き」探索行動における空間と視認との関連" 日本建築学会第14回地域施設計画シンポジューム論文集. 14 発表予定(掲載許可済). 10 (1996)
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[Publications] 渡邉昭彦 他: "空間探索行動実験による活気・落ち着きの構成要素に関する研究-構成要素表から見た特別養護老人ホーム2施設比較" 日本建築学会第14回地域施設計画シンポジューム論文集. 14 発表予定(掲載許可済). 10 (1996)
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[Publications] 渡邉昭彦 他: "空間探索行動実験による活気・落ち着きの構成要素の研究その1、病院の病棟と検査部におけるケーススタディ" 日本建築学会大会学術講演梗概集. 1995年度大会. 123-124 (1995)
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[Publications] 渡邉昭彦 他: "空間探索行動実験による活気・落ち着きの構成要素の研究その2、特別養護老人ホームのケーススタディ" 日本建築学会大会学術講演梗概集. 1995年度大会. 125-126 (1995)