1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650927
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
酒井 清孝 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00063727)
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Keywords | 電気化学発光 / ルミノール / 陰極 / 抗体抗原反応 / ウシ血漿 / マレイミド標識法 / 結合選択性 |
Research Abstract |
電気化学発光による抗体定量では、グルタルアルデヒド標識法によりルミノールを抗原に標識し、この標識抗原を用いて抗体を定量した。抗原の分子量や荷電に関係なく、抗原上に標識されたルミノールの電気化学発光強度が増大することを水溶液において確認した。また、その発光増強の変化は抗体濃度に依存した。しかし、グルタルアルデヒド標識法では、抗原抗体反応の特異性が確認されなかった。そこで、当該年度は、グルタルアルデヒド法により生じた問題点を解決するため、マレイミド標識法により抗原にルミノールを標識した。抗原として、ヒト血清アルブミン(HSA)、免疫グロブリンG(IgG)を用いた。このルミノール標識抗原を用いて、水溶液系で抗体を定量した。さらに、実用性の評価として、ウシ血漿系における抗体定量も試み、共存物質の影響を検討した。試験水溶液をフローセルに送液し、インジウム・スズ酸化物(ITO)を蒸着させたガラス電極上で、電位を印加した。 このとき電位は-0.70Vvs.Ag/AgClで、10秒間のパルスステップとして印加した。電位印加で得られた光子数の積算値を発光強度とし、これを測定した。発光強度と各抗体濃度の関係から定量を行った。マレイミド法を用いて、ルミノールを標識したHSAやIgGでも、グルタルアルデヒド法と同様に、抗体濃度の増加に伴い発光強度が増大し、定量の可能性が示唆された。さらに、グルタルアルデヒド法においては確認されなかった抗原抗体反応の結合特異性が確認された。また、ウシ血漿中における抗体定量では、発光強度はHSA、IgGともに水溶液系に比較して低い値を示した。しかし、抗体濃度増加に伴う発光強度の増大が確認された。したがって、発光反応阻害物の抑制など適切な補正を行うことにより、血漿系での抗体定量が可能であることが示唆された。
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