1994 Fiscal Year Annual Research Report
付加-引抜きラジカル重合の開発と新規ポリマーの合成
Project/Area Number |
06651029
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 恒之 徳島大学, 工学部, 教授 (20047187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妹尾 真紀子 徳島大学, 工学部, 助手 (40226676)
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Keywords | ラジカル重合 / 付加-引抜き機構 / ビニルエーテル / フマル酸エステル |
Research Abstract |
通常のラジカル重合ではポリマーが生成しないビニルエーテルおよびフマル酸エステルを骨格として付加-引抜きラジカル重合に適した新規モノマーを合成、その重合挙動、機構について検討を行った。 1.まずビニルエーテルを骨格とした3,3-ジシアノプロピルビニルエーテルを合成し、単独重合について検討を行った。高温ラジカル開始剤を用いて重合をおこなったところ、分子量3000〜4000のポリマーが高収率で得られた。この重合挙動について速度論的に検討を行った。生成したポリマーの構造解析から、重合過程の約95%が付加-引抜き機構により進行しており、ポリマー主鎖にエーテル結合を含むポリマーが得られた。 2.次に、フマル酸エステルを骨格とし、成長過程で付加-引抜きに続いて側鎖ジオキソラン環の開環反応を伴う重合が期待できるフマル酸o-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニルエチルを合成し重合を行った。生成ポリマーの構造から重合条件により50〜80%の割合で成長過程に付加-引抜き機構が関与しており、さらに高温の重合では付加-引抜き反応に続いて開環反応を伴い、ポリマー主鎖にエステル結合を含むポリマーが生成した。 通常のビニル重合では主鎖に導入することが困難な官能基を主鎖に組み込むことによって新たな物性を有するポリマーとしての応用が期待されるが、これを利用するためには共重合等の手段を用いて生成ポリマーの分子量を高めてやる必要がある。
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