1994 Fiscal Year Annual Research Report
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06660096
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
市原 茂幸 名古屋大学, 農学部, 助教授 (30092993)
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Keywords | 大腸菌 / 酢酸 / Ack-Pta経路 |
Research Abstract |
大腸菌における酢酸の生成・代謝に関しては古くから研究が行われているにもかかわらず、酢酸の生成・代謝の切り替え機構はこれまでのところ詳細は不明である。この切り替えの分子機構を明らかにし、切り替えを人為的に支配することにより、酢酸生成に伴う培地水素イオン濃度低下によってもたらされる生育障害問題を解決することを目標としている。 研究を行うにあたり、本系では関連酵素が多種類存在していることが明らかとなり系の単純化をめざした。まず、主経路とされているAckA-Pta経路の遺伝子、ackA、ptaのクローニングを行い、ackA-pta遺伝子がオペロンを形成していることを明らかにした(論文1)。またこの両遺伝子欠失変異株、単一遺伝子欠失株を得て、変異株における酢酸生成・利用の詳細な機構を調べた。その結果、この変異株においては酢酸生成・利用系が異常になってはいるものの、依然複雑な系が存在していることが明らかになってきた(論文2)。そこで、この欠失変異株からペニシリン-スクリーニングにより酢酸利用がほとんどできなくなった株をえることを試みた。AckA-Pta経路のバイパスと考えられる経路の欠失株を7株えることができた。現在、この変異を相補する遺伝子をえるという方法で、その遺伝子のクローニングを行っている。遺伝子がえられれば欠失変異株を自由に制御することができるようになり、複雑な系を単純化できる考えられる。 また、TCAサイクルの速度よりグリコリシスの速度が速いために野生株における酢酸生成が行われることを明らかにし、その調節を行う遺伝子の検索を試みた。その結果Mlcと名付けた新しい調節遺伝子をえた(論文3)。この遺伝子産物による両サイクルのアンバランスの詳細な機構はまだ不明である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kakuda,H., Hosono,K., Shiroishi,K.,& Ichihara,S.: "Identification and Characterization of the ackA(acetate kinase A)-pta(phosphotransacetylase)Operon and Complementation Analysis of Acetate Utilization by an ackA-pta Deletion Mutant of Escherichia coli." J.Biochem.116. 916-922 (1994)
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[Publications] Kakuda,H., Shiroishi,K., Hosono,K.& Ichihara,S.: "Construction of Pta-Ack Pathway Deletion Mutants of Escherichia coli and Characteristic Growth Profiles of the Mutants in a Rich Medium." Biosci.Biotech.Biochem.57. 2232-2235 (1994)
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[Publications] Hosono.H., Kakuda,H.,& Ichihara,S.: "Decreasing Accumulation of Acetate in a Rich Medium by Escherichia coli on Introduction of Genes on a Multicopy Plasmid." Biosci.Biotech.Biochem.58. 256-261 (1995)