1994 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースの分子運動の視覚化による分子鎖特性の解析
Project/Area Number |
06660418
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 文男 京都大学, 木質科単研究所, 講師 (10109069)
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Keywords | セルロース / コンホメーション / 分子動力学 / コンピュータグラフィックス |
Research Abstract |
1.MM2-CARB(87)を用いてβ-1,4-D-グルカン(セルロース)のセロバイオース単位のφ-Ψマップを描いた結果、マップの中心付近に、高さ18.2Kcal/molのエネルギーの尾根を挟んで、15.8Kcal/molと17.9Kcal/molのエネルギーの谷の存在が確認され、β-1,4-D-グルカンの結晶中のコンフォーメションは15.8Kcal/molのエネルギーの谷に相当することが確認された。また、高さ26.0Kcal/molのエネルギーの尾根を挟んで、マップの周辺部に17.2Kcal/molのエネルギーの谷の存在することが確認された。 2.MM2-CARB分子力場におけるβ-1,4-D-グルカンの16量体の、室温条件下での分子動力学シミュレーションの結果、出発構造の局部的な歪みを取り除くには、約300ピコ秒(60万ステップ)の予備的シミュレーションの必要なことがわかった。1.5ナノ秒にわたるシミュレーションの軌跡を解析した結果、シミュレーションの初期には激しく変化していた構造も、歪みが取り除かれた後には、比較的穏やかな変化を繰り返し、分子鎖構造は、ほぼ前述のφ-Ψマップの中心付近の二つのエネルギーの谷に相当する構造に収れんして行った。なお、これらの分子運動の軌跡を視覚化するために、分子構造表示のためのPDSと市販のビデオ画像編集ソフトを組み合わせて、分子運動のアニメーション化のためのシステムを組み、現時点で、700ピコ秒までのアニメーションを作成済みである。平成7年度には、引き続き、アニメーションの完成と、シミュレーション結果の時系列表示とその解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)