1995 Fiscal Year Annual Research Report
消化管粘膜の組織形成と細胞分化に関する微細形態学的・組織細胞化学的研究
Project/Area Number |
06670022
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
片岡 勝子 広島大学, 医学部, 教授 (30034002)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
洲崎 悦子 広島大学, 医学部, 助手 (10274052)
山本 正夫 広島大学, 医学部, 講師 (00109399)
|
Keywords | 胃 / 主細胞 / 副細胞 / 壁細胞 / ペプシノーゲン / 免疫組織化学 / レクチン組織化学 / ラジオオートグラフィー |
Research Abstract |
1.マウス固有胃腺のペプシノーゲン分泌細胞の分化について、免疫組織化学及びレクチ組織化学によって観察した。個体発生学的にはペプシノーゲン分泌細胞は胎生16日より分化し、哺乳期にはペプシノーゲン産生量は少なく、粘液を種々の程度に含んでいる。離乳期になると、ペプシノーゲン分泌細胞は粘液産生の盛んな副細胞と粘液産生をしない主細胞に分化する。頸底移行部では副細胞が主細胞に分化するが、この時、細胞は分泌顆粒をほとんど完全に放出してから粘液糖蛋白産生の少ない細胞になり、最終的に主細胞に変わると考えられる。 2.マウス固有胃腺の壁細胞の分化の時間的経過を主に^3H-thymidine radioautographyにより研究した。分裂能力があるのは細胞内分泌小管をもたない極めて幼若な壁細胞で、1日後より分泌小管が発達しはじめ、5日後には分泌小管がほぼ核の全周を取り巻く。1週間後には成熟壁細胞が標識される。しかし、なお、強く標識された幼若成壁細胞も多く、成熟速度は一定していないことがわかる。成熟壁細胞同士は直接に接することはなく、間に他の細胞が介在する。一方、同じような成熟段階で、同じ程度に標識された幼若壁細胞同士はしばしば直接に接している。このことは、細胞分裂時には壁細胞への分化が決定されていること示唆する。さらに同母原性の壁細胞の分化は、ギャップ結合により調節されることが示唆される。 壁細胞は、少なくとも胃小窩においては、アポトーシスにより死ぬ。大多数のアポトーシス小体は表層粘液細胞に包まれ、表層粘液細胞の剥脱とともに粘膜から排除される。しかし一部は表層粘液細胞から抜け落ち、大食細胞により貪食される。これが抗壁細胞抗体の産生につながる可能性があり、悪性貧血との関係が注目される。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] OHKUSA,T.: "Freeze fracture and immunohistochemical studies of gap junctions in human gastric mucosa with special reference to their relationships to gastric ulcer and gastric carcinoma" J.Microscope Tec.31. 226-233 (1995)
-
[Publications] 片岡 勝子: "十二指腸のブルンナー腺の微細構造と糖タンパクの形成" 電子顕微鏡. 29. 152-157 (1995)
-
[Publications] 片岡 勝子: "十二指腸粘膜の微細構造" 消化性潰瘍-臨床と基礎. 14. 36-45 (1995)
-
[Publications] Adib A.Aughsteep,: "Correlative Morphometric and Biochemical Study on Pancreatic Amylase in Normal and Streptozotocin-Diabetic Rats" Pancreas,. (in press). (1996)
-
[Publications] KOJIMA,T.: "Changes in cellular distribution of connexin 32 and 26 during formation at al. of gap junctions in primary cultures of rat hepatocytes." Exp.Cell Res.(in press). (1996)
-
[Publications] Yamamoto M.: "Cytodifferentiation of pancreatic acinar and intestinal absorptive cells is accompanied by rapid formation of gap junctional plaques.(Kanno,Kataoka et al ed:Intercellular communication through gap junctions.)" Elsevier, 459(305-308) (1995)
-
[Publications] 片岡 勝子: "胃(小川、齋藤、永田、安田編「組織学、組織化学的アプローチ」)" 朝倉書店, 310(132-143) (1996)