1995 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス非構成蛋白NS2によるゲノムRNA分節の識別機構
Project/Area Number |
06670335
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
小田切 孝人 自治医科大学, 医学部, 講師 (80177237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 真人 国立予防衛生研究所, ウイルス第1, 部長 (90111343)
田中 利典 自治医科大学, 医学部, 講師 (30146154)
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Keywords | インフルエンザウイルス / DIウイルス / DI-RNA / ウイルス粒子形成 / RNAパッケージングシグナル / RNAトランスフェクション / NS2蛋白 |
Research Abstract |
本研究の目的は、i)DIウイルス粒子形成過程において、DI-RNAと特異的に競合してウイルス粒子へのパッケージングが抑制される遺伝子の選択性を規定しているRNA分子上のシグナル領域を同定する。ii)ゲノムRNAのパッケージング過程におけるNS2蛋白の機能を解明することにある。本研究最終年度においては、以下の成績を得た。 1。PAおよびPB2遺伝子の非コード領域をCATレポーター遺伝子の両末端に結合した人工ゲノムRNA、および両遺伝子の一部を互いに組み換えたキメラRNAを試験管内で合成した。これらをPADI-RNAを持つNS2変異株感染細胞に導入し、DI-RNAによってパッケージングが抑制される人工RNAを同定した。パッケージング抑制を受けるRNAは、PADI-RNAと全く同じ非コード領域を持っていた。しかし、PAに特異的な領域の両末端7塩基をPB2で置換したキメラRNAは、全く抑制されずにパッケージングされることが分かった。従って、DI-RNAが認識するRNA識別シグナルは、分節特異領域の両末端7塩基中に存在すると考えられた。 2。PB2DI-RNAを含まないNS2変異株(A3/e)および野生株感染細胞に試験管内で合成したPB2DI-RNAを導入した。NS2変異株ではPB2DI-RNAが多量にウイルス粒子中へ取り込まれ、それに伴ってPB2遺伝子の著しい減少が見られた。一方、野生株ではPB2DI-RNAは殆ど取り込まれず、PB2遺伝子の減少も見られなかった。両ウイルス株においては、NS2蛋白のみが異なることから、正常なNS2蛋白はウイルス粒子形成過程において、DI-RNAのパッケージングを抑えて正常ゲノムRNAが優先的にパッケージングされるように調節すると考えられた。
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[Publications] T. Odagiri: "An amino accid change in the nonstructural NS2 protein ・・・" J. Gen. Virol. 75. 43-53 (1994)
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[Publications] T. Odagiri: "Reversd misreading of a GC dublet by the modified T7 ・・・" virus Genes. 8. 271-274 (1994)
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[Publications] 小田切孝人: "インフルエンザウイルス干渉性欠損(DI)粒子の出現における・・・" 東北のコロニー. 29. 27-38 (1994)
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[Publications] 小田切孝人: "インフルエンザウイルスのゲノム構造と機能" 蛋白質・核酸・酵素. 37. 1279-1285 (1992)