1995 Fiscal Year Annual Research Report
酸素欠乏時における成熟ラット培養心筋細胞の形態学的変化及び漏出物質の測定
Project/Area Number |
06670465
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
的場 梁次 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (20107056)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前野 善孝 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (00145749)
|
Keywords | 酸欠 / 成熟ラット / CPK / 培養細胞 / 心室筋細胞 / DNA |
Research Abstract |
本年度はin vitroでの酸素欠乏における成熟心筋単離細胞への影響について実験を行った。Wistar系雄ラット8週齢より麻酔下で心臓を摘出し、灌流後、コラゲナーゼ処理を行い、心室筋細胞のみを単離し、酸素欠乏実験を行った。単離細胞の培養液を予め95%N_2、5%CO_2混合ガスで飽和した1%BSAを含むglucose free Krebs-Ringer液(PO_2 20mmHg)と交換して直ちにガス交換の可能な密閉容器に入れ、上記混合ガスを通気することにより酸素欠乏モデルを作製した(Hypoxia-S群)。対照群は、培養液をKrebs-Ringer液(BSA,glucose含有)で置換しCO_2 incubator内で培養したものを用いた(Normoxia-S群)。両群共に37℃4時間観察した。Hypoxia-S群は、細胞の殆どが高度に収縮し、中にはブレブを伴うround cellが見られた。4時間後の細胞外液中のCPK活性は、Hypoxia-S群で平均22.6IU/1、Normoxia-S群で14.1IU/1であり、Hypoxia状態が直接細胞膜の障害に関与していることが示唆された。更に長時間のhypoxia状態の影響について観察するために、DMEM-F12培養液に培養した単離細胞を上記の混合ガス密閉容器に入れ、混合ガスを通気しながら37℃で22時間、46時間incubateした。Hypoxia群では、時間の経過と共にブレブを伴うround cell及び膨化した細胞の数が多くなり、46時間後では、殆どの細胞が収縮、或いはround cell状を呈し、且つ細胞表面がNormoxia群では見られない粗面上を呈した。培養液中のCPK活性も上昇した。更にAgarose gel電気泳動で細胞中のDNA調べたところ、22時間では不規則なDNAの断片化が見られ、46時間後では、約180bpの倍数単位の断片化も観察された。以上より、成熟単離心筋細胞においても外界の低酸素状態が短時間より膜安定性を障害し、更に長時間でDNAレベルでの障害を来すことが示唆された。
|