1994 Fiscal Year Annual Research Report
電解質異常に伴うcentral pontine myelinolysisの制御
Project/Area Number |
06671162
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
高光 義博 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90107053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 健 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (70217769)
稲垣 王子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10104267)
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Keywords | 高Na血症 / central pontine myelinolysis / 有機浸透圧物質 / myo-inositol |
Research Abstract |
低Na血症や高Na血症などの電解質異常に認められる中枢神経症状、とくにcentral pontine myelinolysis発生機序と細胞内浸透圧調節制御機序との関連を解明するため、高Na血症モデルを作成し、脳内の有機浸透圧物質の変化を検討した。慢性高Na血症モデルは、Wister ratに高張食塩水で大腿静脈より48-72時間持続的に投与することにより作成した。このモデルの血清Na濃度は165mEq/l以上で、適切なモデルであると評価された。この慢性高Na血症ラットの脳を摘出し、大脳皮質および延髄に分けた後、myo-inositol,taurine.glycero-phosphorylcholine,betain,sorbitolの含有量をHPLCを用いて定量測定した。脳においては主としてmyo-ino-sitol,taurineが有機浸透圧物質として蓄積されていたが、その他の有機浸透圧物質は2-5mmoles/kg prot.以下で有意ではなかった。コントロールおよび慢性高Na血症ラットのいずれにおいても、taurineの含有量は大脳皮質が延髄より多く、myo-inositol含有量は延髄の方が大脳皮質より大であった。また、慢性高Na血症ラットではコントロールラットに比較して、大脳皮質、延髄の両方でmyo-inositol含有量の増加が認められたが、taurine含有量については両者で有意の差はみられなかった。 以上のごとく、慢性高Na血症モデルの完成により当初の計画の一つである高Na血症に反応して脳内に蓄積される主たる有機浸透圧物質を解明することができた。しかし、低Na血症のモデルの作成は、血清Na濃度が127mEq/l以下に低下せず、今後飲水量およびDDAVP量を再検討する必要があることが判明した。また、脳に置けるmyo-inositol輸送担体のmRNA量の検討は、発現量が少ないため定量的に検出できず、PCR法などを用いた検討が必要である。
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