1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌における悪性度の評価と再発病態に関する研究-特に分子生物学的解析を中心として-
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06671266
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Research Institution | MIE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
横井 一 三重大学, 医学部, 講師 (60174843)
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Keywords | 肝細胞癌 / 分子生物学 / 悪性度評価 / 再発病態 / 染色体欠失 / nm23Hl / cell adhesion regulator / E‐cadherin |
Research Abstract |
肝細胞癌切除例を対象に分子生物学的手法を用い,13q,16q,17p染色体欠失をはじめ,転移に関与する癌転移抑制遺伝子nm23Hl,接着分子関連遺伝子のcell adhesion regulator(CAR)やE‐cadherin(EC)の発現を検索し,病理学的進展因子や核DNA ploidy pattern並びに切除後の再発病態や予後と比較検討して以下の結果を得た。 1.肝癌のStageの進行に伴い,各染色体の欠失頻度やnm23Hl,CAR,ECの発現低下の頻度は増加し,StageIII,IVでは高率に認められた。 2.16q染色体上に存在するCAR,ECの発現は16q染色体欠失例では非欠失例に比べ,高率に低下していた。 3.16qを含む2つ以上の染色体欠失例やnm23Hl,CAR,ECの発現低下例はvp,im陽性例やAneuploidのものが多く,残肝多発再発や肝外転移を来し易く,16q染色体の遺伝子異常は肝癌の進展に深く関与していることが示唆された。 4.多発結節症例における各結節や残肝再発再切除例の初発巣と再発巣の染色体欠失の検索により,欠失パターンの相違から同時性並びに異時性多中心性発生の診断が可能であった。 以上,分子生物学的解析は肝癌の詳細な悪性度評価や多中心性発生の診断に有用であることを明らかとした。現在,染色体欠失にマイクロサテライトマーカーによるPCR‐RFLP法,遺伝子発現にRT‐PCR法を用いることにより少量の生検組織からの解析が可能となり,術前診断に応用を試みている。しかし,これらの遺伝子異常は癌の進展に伴う後期の変化であり,今後は癌発生早期の遺伝子異常を捕らえることが重要である。そこで早期肝癌における他の染色体欠失や欠失染色体上の新たな癌抑制遺伝子の同定をはじめ,遺伝性非ポリポ-シス大腸癌で発見された癌化やprogressionの原因となるDNA修復酵素異常にも注目し,肝癌との関連について研究を準備中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 横井 一: "若年者B型肝細胞癌の臨床病理学的検討-背景因子,腫瘍進展度,切除後の予後" 日本臨床. 53. 698-703 (1995)
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[Publications] Y.Kawarada: "Surgical treatment of hepatocellular carcinoma" Cancer Chemotherapy and pharmacology. 33. 12-17 (1994)
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[Publications] 横井 一: "肝細胞癌悪性度の判定-分子生物学的立場からみた悪性度-" KARKINOS. 7. 241-249 (1994)
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[Publications] 野口 孝: "特集/小肝細胞癌 外科的治療の問題点" 外科治療. 71. 78-84 (1994)
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[Publications] 野口 孝: "肝癌の集学的治療の適応と選択" 外科診療. 36. 1533-1542 (1994)