1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671310
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
横畠 徳行 帝京大学, 医学部, 講師 (50147089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小室 正人 帝京大学, 医学部, 講師 (10112757)
田島 マサ子 帝京大学, 医学部, 主任 (20211360)
沖永 功太 帝京大学, 医学部, 教授 (00101098)
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Keywords | EBV-VCA / EBV-LMP / 胃潰瘍 / 胃炎 / 胃癌 / 胃ポリ-プ / 健常者 |
Research Abstract |
EBV-によって誘導されるLMP蛋白は癌遺伝子を活性化し、細胞の腫瘍化に関与している蛋白であることが報告されている。我々は胃癌患者においてEBV-LMP蛋白が発現しているかどうかLMP蛋白に対する抗体調査を行い、さらに対照として良性の胃疾患患者(50歳以上)と同年齢層の健常者について検討し、以下の成績を得た。 1:EBV-LMP抗体の陽性率(20倍以上が陽性)は胃ポリ-プ4%、急性胃炎は7.6%、最も高い胃潰瘍で12%であった。これに対し胃癌では早期癌で68%、進行癌で78%と高陽性率であった。 2:胃癌患者と健常者について年齢別で比較すると、LMP抗体の陽性率は胃癌患者では40歳代では52%、50歳代は66%、70歳代では71%、80歳代では92%であった。これに対し健常者は40歳〜50歳代は0%、60歳代は17.5%、70歳代は20.5%と加齢による上昇が見られたが、低陽性率あった。一方VCA抗体の陽性率は胃癌患者は全年齢とも100%、健常者は最も低い40歳代で90%、それ以外は95〜100%であり、VCA抗体陽性率では両者間に差が認められなかった。 3:術前・術後における抗体価の変動は癌病期に比例し、癌摘出後に抗体価が低下したのはLMP抗体価では癌病期のI期では58%、II期では54%、III期では44%、IV期では10%と病気の進行にともなって術後に抗体価の低下する割合が減少をしたが、VCA抗体価では減少が認められなかった。反対に術後に抗体価が上昇したのはVCA抗体価で病期の進行と共に増加した。しかしLMP抗体では術後、抗体価の上昇は認められなかった。これらの現象はVCA抗原とLMP抗原の産生する組織系の違いを示唆しており、術前・術後におけるVCAとLMP抗体価の変動の違いがこのことを支持していると思う。さらに免疫組織染色による成績でも胃癌組織中にEBV-LMP蛋白が癌組織に検出された。(感染症学会総会、45回消化器外科学会にて発表)。
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