1994 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌の転移機構の分子生物学的解析 -特に移動能と細胞増殖因子遺伝子からの検討
Project/Area Number |
06671361
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
安田 真一 獨協医科大学, 医学部, 研究員 (60133279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 晃一郎 獨協医科大学, 医学部, 教授 (60009488)
長井 千輔 獨協医科大学, 医学部, 講師 (10118482)
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Keywords | 肺癌 / 癌転移 / 増殖因子 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
癌の他臓器への転移は、患者の予後と密接に関連する重要な問題である。我々は、この転移機構を遺伝子解析で行っているが、癌転移機構には多く機序が知られていることより、それらの各々を解明していくことは重要である。最近、動物腫瘍にて、増殖因子を産生するものが癌細胞の肺、肝臓への転移の選択性に関連していると報告されており、我々が以前にヒト肺癌にて見出していたマイトジェン様物質は、肺癌の転移に関連した因子ではないかと考えられたことより、肺癌の転移過程で、特に癌細胞が転移臓器への移動とそこでのオートクライン/パラクライン因子による増殖が主としてGM-CSF,IL-6により制御されているのではないかとの可能性を、これらの遺伝子を指標にして分子生物学的に、これらの増殖因子と転移における役割を解明するための検討を行った。 本研究の進行は研究組織の代表者である安田の個人的理由(兵庫県で一人居住の母親の長期入院と死亡による諸々事情とその後の疲れによる病気)で計画の大部分はは4ヵ月以上中断したが、その後凍結保存していた保存血清中の増殖因子の測定をELISA法にて行った。GM-CSFおよびIL-6のサイトカインはそれほど高い値ではないが各々10%近く上昇しているものが有った。これらと癌転移の関連を検討している。しかし、血中の増殖因子、特にIL-6は血液による希釈などが考えられ、正しく評価することは難しいと考えられた。また、所有している培養細胞の一部の遺伝子解析で増殖確認できたものが25%あり、これらの株の皮下移植による転移性は見られず、以前にマイトジェン活性を見出した株での同遺伝子の発現は見られなかったので、今回の検討したものとは別のIL-1,IL-8,TNF-α等に検索を拡大する一方、移植部位の正所および他の転移関連物質との共存化、in vitro浸潤能の測定を合わせた検討で効率良く検定できる方法を導入して動物モデルの確立を進めている。
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