1995 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌の転移機構の分子生物学的解析-特に移動能と細胞増殖因子遺伝子からの検討
Project/Area Number |
06671361
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
安田 真一 獨協医科大学, 医学部, 研究員 (60133279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 晃一郎 獨協医科大学, 医学部, 教授 (60009488)
長井 千輔 獨協医科大学, 医学部, 講師 (10118482)
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Keywords | 肺癌 / 癌転移 / サイトカイン / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
癌の他臓器への転移は、患者の予後と密接に関連する重要な問題で、癌転移機構の各々を解明することが試みられている。最近、増殖因子を産生する悪性腫瘍が転移の臓器選択性に関連することが報告されている。この結果は、我々が見出したヒト肺癌細胞より産生されているサイトカイン様物質が、同様な肺癌の転移に関連する因子で、肺癌の転移過程の転移臓器への移動とそこでのオートクライン/パラクライン的増殖の制御に関与しているのではないかと考えにたち、産生されている因子をGM-CSF、IL-6等と推測し、これらの遺伝子を指標に、転移における役割を分子生物学的に検討した。 癌細胞の移動能については、Ca依存トロポミオシン結合蛋白pEL98遺伝子の発現を培養ヒト肺癌細胞を含む癌で調べたが、この発現は見られなかったため、この能力をもつた他の遺伝子を検索する必要がある。増殖因子としてはIL-1α、IL-1β、IL-6、IL-8、TGF-α、TGF-β、TNF-α、GM-CSF、G-CSF,VEGFのサイトカイン遺伝子をRT-PCRおよびNothan Blot法にて培養ヒト肺癌細胞13株を含む26種の悪性腫瘍細胞で調べた。また、in vitroの転移能はmatrigelチャンバーを使用したinvasion法で検討した。IL-8は全癌細胞中約88%に発現が見られた。また、TGF-αも肺癌では13例12例と高頻度に検出していた。IL-6をはじめ他のサイトカインの発現頻度は低頻度であった。in vitro転移能はin vivoの転移と相関するといわれているtrigelチャンバーを使用した浸潤能で検索した。肺癌株では5例にその活性が見られたが、サイトカイン遺伝子の発現と密接に相関するものは見出だせなかった。invasion能が強い腺癌の1株をヌードマウスに皮下に移植したところ高率に肺転移がみられた。この株はIL-6強発現で、IL-8、TGF-αの発現は弱く他のものの発現は見られなかった。
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