1995 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疼痛の脊髄における増悪因子および疼痛軽減因子について
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06671550
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Research Institution | Dokkyo University, School of Medicine |
Principal Investigator |
高野 義人 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (10134701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 勲 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80049808)
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Keywords | 慢性疼痛 / NMDA受容体 / 痛覚過敏 / ニトログリセリン / プロスタグランディンE1 / 一酸化窒素 / 脊髄 |
Research Abstract |
1.薬剤のくも膜下腔投与による疼痛増強とその機序:くも膜下腔にカテーテルを植えたラットを用い,疼痛試験としてフォルマリンテスト(FT)を用いた。ニトログリセリン(NTG)またはプロスタグランディンE1 (PGE1)をくも膜下腔に投与すると有意な疼痛反応増強がみられた。一酸化窒素(NO)合成酵素阻害薬のL-NAME,NOの捕捉薬であるヘモグロビン,NOが活性化するグアニル酸シクラーゼの阻害薬であるメチレンブルー,NMDA受容対拮抗薬であるMK-801がこれらの痛覚過敏におよぼす影響を調べた結果,NTGは脊髄において,NOを放出することにより二次ニューロンにて疼痛伝達を増強させ,プレシナプスに作用することによりグルタミン酸の放出を促し,NMDA受容体を介し持続性の疼痛反応を増加させていることがわかった。また,PGE1の痛覚過敏作用にはポストシナプスのNMDA受容体が関与していることがわかった。2.炎症による疼痛モデルの作成とその疼痛性状の分析:関節炎を惹起させる物質,カラゲニンとカオリンの混合用液を尾骨起始部の椎間関節に投与し3時間後に疼痛閾値を測定した。疼痛閾値が低下したのは圧侵害刺激試験のみで熱侵害刺激試験,FTでは疼痛閾値の変化はみられなかった。したがって炎症による痛覚過敏は圧刺激に対する疼痛閾値を選択的に下げることがわかった。この機序の詳細は不明である。3.炎症関連物質のくも膜下腔投与による疼痛増強:インターロイキン-1βをくも膜下腔に投与し5-10分後より疼痛試験を行ったところ圧侵害刺激試験をFTにおいて疼痛閾値の有意な低下が観察された。詳細な機序は不明である。上記の成果のうち,1の内容は第17回日本疼痛学会(平成7年)に発表した。2および3の内容は第8回国際疼痛学会(平成8年)にて発表の予定である。
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