1994 Fiscal Year Annual Research Report
母乳中transforming growth factor-βによる免疫系の調節
Project/Area Number |
06671675
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
石坂 重昭 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (90159715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 滋 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30175351)
荒木 恒治 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30084867)
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Keywords | TGF-β / 母乳 / 経口投与 / 抗体産生 / マウス / 羊赤血球抗原 |
Research Abstract |
母乳中に大量に存在するTGF-βが乳児の免疫系にどのように作用するかをマウスを用いて解析した。その結果を以下に示す。 1.ラットNRN49F細胞を用いたコロニー形成法により定量的に母乳内のTGF-βを測定した結果、母乳内のTGF-βは全量として740〜1160ng/mlであり、活性型として30〜330ng/mlであった。次にマウスの幽門と噴門部を結紮し、母乳を注射器にて胃内へ注入して、30分後に胃内液を集め、活性型TGF-βを測定すると、母乳内のTGF-βは胃内にて約2倍に増加した。しかし、潜在型TGF-βを大量に含む血小板の胃内投与では約10倍の活性型TGF-βが増大することにより、母乳には胃酸の中和作用もあって活性型の増大は少ないのかもしれない。 2.母乳あるいはTGF-βの飲用による抗体産生の調節:マウスに母乳あるいはTGF-βを経口投与し、同時に抗原として羊赤血球(SRBC)を経口投与すると、脾臓、末梢血中のSRBCに対する抗体産生細胞数は低下したが、SRBCを尾静脈、腹腔内、気管支内へ投与すると、SRBC特異的な抗体産生細胞数は逆に増大した。母乳内のTGF-βを除去するために、抗TGF-β抗体をaffigelに結合したアフィニティーカラムに母乳を通過させ、アフィニティーカラムに結合した分画をマウスに経口投与し、SRBCを腹腔内または静脈内に投与すると、脾内のSRBC抗体産生は増強した。非結合液を経口投与してもSRBC抗体産生には影響を与えなかった。したがって、母乳内に存在する種々の免疫調節因子の中でも特に強くTGF-βは免疫調節作用を発揮するものと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ishizaka,s.et al.: "Antibody production system modulated by oral administration of human milk and TGF-β" Cellular Immunology. 159. 77-84 (1994)
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[Publications] 石坂重昭: "母乳中のTGF-βは経口抗原に対する抗体産生を抑え非経口抗原に対する抗体産生を増幅する。" 臨床免疫. (印刷中).