1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671745
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
吉田 雅文 産業医科大学, 医学部, 助教授 (00182783)
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Keywords | 音響曝露 / サリチル酸 / 聴覚障害 / 蝸牛マイクロホン電位 / 耳音響放射 / 2f_1-f_2歪成分 |
Research Abstract |
前年度までの研究で、音響とサリチル酸は共に外有毛細胞を障害するものの、両者の障害様式に差異が存在することが明らかとなったが、平成7年度には両者の相互作用について、同様にモルモットにおいて検討をおこなった。指標としては、前年度までの蝸牛神経複合活動電位(CAP)と歪成分蝸牛マイクロホン電位(CM-DP)に加え、歪成分耳音響放射(DP-OAE)を用いた。その結果、両者の相互作用は、それぞれを与える順序による異なることが判明した。すなわち、サリチル酸を投与した後に音響を曝露した群では、それぞれを単独で行った群における変化を合わせたものにほぼ相当する各指標の変化を示した。これに対して、音響暴露した後にサリチル酸を投与した群では、前群に比して各指標の変化の程度は小さく、ことに音響曝露による影響の大きい周波数域ほど、引き続くサリチル酸投与による障害は軽微であった。音響曝露では外有毛細胞の機械-電気変換が、またサリチル酸投与では電気-機械変換が障害されることから、蝸牛音響受容機構の障害の発現においては、前者の障害がより優位な地位を占めているものと結論した。 さらに、今回の実験を行っている際に偶然に遭遇した、蝸牛内の自発交流電位についても検討を行った。この自発電位は、人工呼吸器の停止後短時間で消失し、外部より音響負荷をすることにより抑圧を受けた。この抑圧効果は、外部音の周波数が電位のそれに近いほどより大きかった。比較的強大な音響曝露では、電位は曝露後にも一定期間抑圧された後に回復し、NI-TTSと似通った経過を示した。以上の結果より、自発交流電位は蝸牛基底膜上の電位の周波数を特徴周波数とする部位の近傍において、蝸牛機械系の能動的振動により産生されていると結論した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 吉田 雅文: "モルモット蝸牛内自発交流電位の外部音による抑圧" 日本耳鼻咽喉科学会会報. 99. 327-332 (1996)
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[Publications] M. Aoyagi: "Different effects of noise and salicylate and their interaction on the guirea pig cochlea" Eur. Arch Otorhinolaryngology. (1996)
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[Publications] M. Yoshida: "Physiological basis of occupational health, Ed by K. Shiraki et al" SPB Academic Publishing, Amsterdam, The Netherlands, (1996)