1995 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性腫瘍及び歯の形成異常発生過程の上皮-間葉相互作用に及ぼすβ-カロテンの影響
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06671800
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
向後 隆男 北海道大学, 歯学部, 助教授 (80001949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 正信 北海道大学, 歯学部, 助手 (20162802)
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Keywords | 歯牙形成異常 / 歯原性腫瘍 / β-カロテン / N-ニトロソメチルウレア / 上皮間葉相互作用 |
Research Abstract |
1)ハムスターの血清中のビタミンA濃度は、β-カロテンに天然と合成による有意な差はなく、β-カロテン単独群、発癌物質のN-ニトロソメチルウレア(NMU)+β-カロテン群、β-カロテンおよびNMU非投与群、NMU単独群の順に高値を示した。 2)NMUによるエナメル質の消失を伴う切歯歯牙形成不全、象牙質の減形成・不規則な形成などの歯牙硬組織形成異常は、NMU+β-カロテン群では、頻度に差異はなかったが、軽減した。NMU+天然β-カロテン群に比し、合成β-カロテン+NMU群では、歯牙形成異常の程度が僅かに軽度であった。 3)NMUによる歯牙形成異常の発症過程は、歯胚部の“U"-shapedpartのヘルトヴィッヒ上皮鞘化およびエナメル器のエナメル芽細胞への分化障害とヘルトヴィッヒ上皮鞘化が生じ、象牙芽細胞の誘導が不定形になり、エナメル基質の形成不全及び象牙質の形成異常を生じると考えられた。β-カロテンにより、歯胚部の“U"-shapedpartのヘルトヴィッヒ上皮鞘化およびエナメル器のエナメル芽細胞への分化障害とヘルトヴィッヒ上皮鞘化は軽減する傾向を示した。β-カロテン投与量の増加により歯牙形成異常はさらに軽減し、合成β-カロテンは、天然β-カロテンに比し、軽減傾向が大であった。NMUにより歯根膜内に遊走した歯原性上皮細胞巣には、著明な角化傾向、一部に嚢胞状腫瘍性増殖及び間葉組織から象牙芽細胞の僅かな誘導などを伴なったが、上皮の変化はβ-カロテンにより軽減した。β-カロテンではNMUによる歯原性上皮の角質変性は抑制され、上皮巣の数は減少したが、歯原性上皮のエナメル芽細胞への分化障害は阻止されなず、上皮-間葉組織の相互誘導は不完全であった。しかし、NMU+ビタミンA大量投与の所見とは部分的に異なり、β-カロテンのプロビタミンA以外の作用の関与が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takao KOHGO et al.: "Histopathologic studies on the pothogenesis of odontogenic tumors and distwbance in odontogenesis in hamsters treated wifh N-metbylnitresourea." 北海道歯学雑誌. 15(1). 209-210 (1994)
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[Publications] 向後隆男: "ビタミンAとβカロテンの役割" 北海道歯学雑誌. 15(2). 386-387 (1994)