1995 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌および顎骨組織における細胞増殖関連抗原に対する迅速免疫組織化学染色法の確立
Project/Area Number |
06672008
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐野 和生 長崎大学, 歯学部, 助教授 (20145270)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 浄治 長崎大学, 歯学部, 助手 (20236095)
|
Keywords | 増殖細胞 / 口腔扁平上皮癌 / 陽性率 / オートクレーブ / 抗原性賦活化 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌における細胞増殖能を迅速にかつ的確に把握することは、臨床上非常に有意義である。平成6年度にパラフィン切片における増殖細胞核抗原(PCNA)の局在について、迅速染色法を2種類比較検討した結果、Enhanced Polymer One-step Staining for PCNA (EPOS-PCNA)が、迅速パーオキシダーゼ法よりも染色性が良好であった。しかしながら、非特異的染色像がなお認められた。 平成7年度は、非特異的染色像をなくし、EPOS-PCNAの染色性をさらに向上させることを目的にヒト舌癌生検標本から得られたパラフィン連続切片を用い、まずブロッキングの検討を重点的に行った。 1) Block Ace(大日本製薬) 2) X0909 (Dako社製カゼイン含有ブロッキング試薬) 3) 洗浄用緩衝液 (1) 0.15M NaCl加トリス緩衝液 (2) 0.5M NaCl加トリス緩衝液 (3) 1M NaCl加トリス緩衝液 その結果、EPOS-PCNAの反応前に2)のX0909をブロッキング試薬として10分間用い、洗浄用緩衝液として3) (1)を使用した場合が最も優れた染色性が得られた。また、EPOS-PCNAの反応時間をそれぞれ室温10、20、30、40、50、60分間の6種類について検討した。陽性率は50分でほぼプラトーに達したため、染色性および陽性率から60分間の反応時間が最適と思われた。しかし、陽性細胞の定量的解析を必要としない(陽性細胞の局在のみが検討の対象となる)場合、60分より短い反応時間で充分と考えられた。 オートクレーブ前処理を含め、ABC法を用いたPCNA免疫染色法と比較検討した結果、EPOS-PCNAもオートクレーブ処理と同様、抗原性を増強することが明らかになった。in vivo BudU標識を行ったマウス舌癌の連続切片を用いた検討では、EPOS-PCNAおよびBrdU陽性細胞の陽性率の間には正の相関が認められた。以上の結果からEPOS-PCNAは細胞増殖能の把握に際し、有用な試薬であることが示唆された。
|
-
[Publications] 佐野和生,他: "口腔扁平上皮癌におけるPCNA染色法の検討" 頭頸部腫瘍. 20. 250- (1994)
-
[Publications] 佐野和生,他: "PCNA免疫組織化学によるラット下顎頭の細胞増殖能についての検討" 日本硬組織研究技術学会雑誌. 3. 47-48 (1994)
-
[Publications] Guowu Ma,Kazuo Sano et al.: "EPOS-PCNA and PCNA immunohistochemistry in the NR-S1 tisnor of the mouse compared with BrdU immunostaining" Book of Abstracts 4th International Congress on Oral Cancer. 131- (1995)