1995 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素原子を指標とする外在性物質の生体内残留に関する研究
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06672046
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
木村 隆英 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (70167378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 剛 第1びわこ学園, 歯科医師
山本 学 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (40230544)
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Keywords | フッ素微量分析 / 低温酸素プラズマ灰化 / パ-フルオロオクタン酸 / フロモキセフナトリウム / 赤血球 / フルブミン / 骨誘導因子 / 脱灰骨基質 |
Research Abstract |
フッ素置換界面活性剤であるパ-フルオロオクタン酸およびフッ素置換抗生物質であるフロモキセフナトリウムの血液中における動的平衡の検討を、フッ素原子を指標とする微量分析法により行った。分析対象としたパ-フルオロオクタン酸は脂溶性であり、体内残留によるその毒性が指摘されている。一方、フロモキセフナトリウムは水溶性の抗生物質である。これらの明らかに性質の異なる二つの化合物が赤血球に対して、同じような速い結合と遅い解離を示した。このような挙動を示すのは赤血球独自の性質によるものであると考えられる。これは血液内における赤血球の薬物輸送に関する新しい知見であり、フッ素化合物の体内残留に直接関係していると考えている。このように、化合物中のフッ素原子を分析指標にする本微量分析法によって、特別な施設や煩雑な操作を必要とする放射性同位元素標識化合物を用いる必要がなくなり、容易に血液中フッ素置換化合物の動的平衡を検討することが可能になった。 一方、フッ化物が骨形成や骨の石灰化を促進することは古くから知られている。したがって、飲食によって摂取されたフッ化物が骨組織に残留する可能性は大きい。骨形成を誘導するタンパク質性因子、すなわち骨誘導因子(Bone Morphogenetic Protein:BMP)は骨を誘導するものの、誘導された骨は広い骨髄腔を持つ粗鬆化した骨である。そこでラットの腹直筋内に脱灰骨基質(Bone Matrix Gelatin:BMG)を移植し、BMGによる骨誘導過程にフッ化物を全身的および局所的に適用し、誘導される新生骨へのフッ化物の影響を観察した。その結果、BMG移植後から新生骨が誘導される間に、局所適用よりも全身投与の方が新生骨中へのCaの取り込み、ALP-ase活性の上昇および石灰沈着などを亢進させることが明かとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 白石剛: "パ-フルオロオクタン酸およびフロモキセフナトリウムの血液中における分配平衡のフッ素分析法による研究" 滋賀医科大学雑誌. 10. 87-97 (1995)
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[Publications] F.Hayakawa: "The Cooperative Effect of Tea Catechins with Fluoride and Aluminium lons on Acid Resistance of Hydroxyapatite" J.Dent.Health. 45. 184-189 (1995)
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[Publications] G.Yamamoto: "Behavior of lonic,lonizable and Organic Fluorides in Whole Blood and Serum after Oral Administration of Sodium Fluoride and p-Fluorobenzoic Acid in Rat" Environmental Sci.2. 195-200 (1994)