1995 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素徐放性レジンシーラントの齲蝕抑制効果に関する研究
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06672080
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
本川 渉 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (60084290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進士 久明 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (00147993)
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Keywords | レジンシーラント / フッ素徐放性 / イオン溶出量 / 吸水性 / EPMA / 牛歯 |
Research Abstract |
マトリックスレジンの吸水性と、フッ素イオン溶出量との間には相関が見られ、吸水性の高いマトリックスレジンからなるシ-ラントほどフッ素イオンの溶出量及び溶出速度が高い傾向を示したので今回調整したフッ素樹脂の溶解性の高いモノマー組成物とレジン組成物を混合し、操作性の良好なものについてフッ素溶出量や溶出速度を調べた。 MMAはPMFに対して高い溶解性を持つが、常温で容易に蒸発する(bp.101℃)ためレジンシーラントの液成分としては好ましくない。そこでPMFの溶解性が高く、やや沸点の高いエチルメタクリレート(EMA:119℃)に、さらに沸点の高いエチレングリコールジメタクリート(1G:約250℃)を75/25(wt%)で混合しコモノマーについてPMFの溶解性を調べたところ、PMFに対する優れた溶解性を示し、かつ、両液を混合した後の混合液の安定性も高いことが解った。そこで、選定したアクリレートのコモノマー(DPHA)と組み合わせたレジンシーラントを調整し、光重合を行ったところ、これらの光重合性は極めて良好であることが判明した。また、6種の試作レジンシーラントからのフッ素イオン溶出量はコントロールのおよそ1.7から1.9倍で、何れも高いフッ素徐放性のあることが確認された。 そこで、次のウシエナメル質へのフッ素の取り込み実験には、PMF40を含むNo.10と、PMF60を含むNo.12を選んで実験を行った。 なお、エナメル質断面のフッ素イオンの分布状態をEPMAを用いて調べた。 その結果、ウシエナメル質への4週間後のフッ素の取り込み量はシ-ラント直下及び周辺部においていずれも実験群がコントロールに比べて高く、また深さ方向に対しても同様な傾向が確認された。また、ウシエナメル質に含まれる固有値に比べても、シ-ラント直下では30-40μm付近まで明らかに高いフッ素濃度を示すことが判明した。
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