1994 Fiscal Year Annual Research Report
コレステロール酸化物の食品学的および栄養生化学的研究
Project/Area Number |
06680035
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大谷 貴美子 大阪市立大学, 生活科学部, 講師 (60148632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 正治 大阪市立環境科学研究所, 研究主任 (30270747)
湯浅 勲 大阪市立大学, 生活科学部, 教授 (50094488)
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Keywords | コレステロール酸化物 / 細胞毒性 |
Research Abstract |
まず、当該年度は、わが国特有の水産加工食品中にどのような分子種のコレステロール酸化物が含まれているかを明らかにする目的で、“ししゃも"と“するめ"を選び、検討を行った。その結果、量的には非常に微量ではあるが“ししゃも"、“するめ"いずれにおいても7-OH-cholesterolの他5α,6α-Epoxide,7-Ketocholesterol等が含まれていることが同定された。そこで、一般的に細胞毒性が強いと報告されているTriolを含め、これらコレステロール酸化物について、培養肝細胞および小腸上皮クリプト細胞(IEC6)を用い、細胞毒性について検討を行った。 肝細胞においては、7-Ketocholesterolによる傷害も最も高く、著しい細胞の生存率の低下が認められた。しかしながら、培養液中へのLDHの漏出は殆どなく、細胞死のメカニズムを検討する目的でDNAの断片化を検討したところ、アポトーシスが生じていることが示された。また、ラジカルの一つである一酸化窒素(NO)の生成との関連を検討したところ、アポトーシスに、NOが一部関与していることが示された。 小腸上皮細胞においては、7-Ketocholesterolは細胞毒性を示さず、Triolによる細胞毒性が最も強く認められた。この場合はLDHの培養液中への漏出にともなう細胞死が観察され、Triolによる細胞毒素は細胞膜の傷害が原因と考えられた。 以上のように、食品中に含まれているコレステロール酸化物は非常に微量のため、それらが直接生体に及ぼす影響は少ないと考えられる。しかしながら、血清中には生体内で作られたかなりの量のコレステロール酸化物が含まれていることが報告されており、本研究でも示唆されたように、用いた細胞の種類によって、毒性を示すコレステロール酸化物の分子種が異なること、またその作用メカニズムも異なることから、今後、それらの作用メカニズムをより詳細に検討するとともに、細胞の保護についても検討していく予定である。
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