1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06680070
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木本 忠昭 東京工業大学, 工学部, 教授 (20052855)
|
Keywords | 情報技術史 / コンピュータの歴史 / 情報処理史 / 技術史 / 科学技術政策史 |
Research Abstract |
本年度は、初年度であったため、研究計画に従って基礎的な分析を進めるとともに、具体的な分析課題としては、情報処理技術のハードウエアの展開過程を明らかにした。情報処理の中心的な技術は数量的な処理技術と通信技術である。このうち処理技術は古代からハードウエア的な側面での発達を認めることができる。古代ローマにおける計算盤やそれ以前の測定器具の発達から、中世期における計算盤、そしてパスカル、ライプニッツやネ-ピアなどの計算器具、バベッジの計算機、そしてホレリスの統計機、IBMのパンチカードシステム(PCS)、そしてENIACとプログラム内蔵方式コンピュータといった流れが、その主な変遷であるが、重要なことは、これらの処理技術はその社会の社会的需要をもっており、社会行政的なつながりがあることである。従って、技術的な展開過程は、単なる処理技術の単体製品の開発史としてみることはできない。この問題は、個別的な製品技術が製品の内部的な連携を有するとともに、同時にそれらが社会的な広がりをもっているので両者の統合として分析しなければならない。これが、第2次大戦後のIBMの特別な企業戦略にもつながったのである。技術的な意味で完成していなくても、社会的な位置とつながりによって、企業戦略的には成功しうるのである。従って、社会的機構としての情報処理技術の構築には、個々の企業戦略を超越したものが求められる。この点は、ハードウエアのもう一つのコアである通信技術との結合形態をあわせて、検討すればより重要な結論が得られるものである。
|
Research Products
(1 results)