1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06680070
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木本 忠昭 東京工業大学, 工学部, 教授 (20052855)
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Keywords | 情報処理技術 / コンピュータの歴史 / 情報処理史 / 技術史 / 日本情報史 |
Research Abstract |
本年度は、通信技術発展の史的構造を扱かい、とくに、コンピュータと通信の関連問題をも分析した。日本の情報・通信産業の急速な展開の技術的基礎については、通産省によるコンピュータ育成政策が、一般的に論議される。1960年前後の、IBM基本特許の使用権獲得に代表されるように、たしかに、通産省の政策は、日本企業の育成政策として有効であった側面もある。しかし、技術の展開からみると、特定企業の保護策としての性格が、如実に示される'60〜'80年代の通産政策は、必ずしも問題のないものではなかった。メインフレーム追求のハードウェアという面での、アメリカ技術のキャッチアップ政策は、基本的にソフトウェア技術の欠落を生み出し、情報処理技術体系の構築において失敗をしたともいえる。その結果、ハードウェアにおいても、一部の半導体生産を除いて、依然として、生産全体からみれば、主導権を握れない追随型に終始しており、問題のソフトウェアにおいては、今や、日本語ワープロにおいてさえ、外国ソフトに肉薄されるに至っている。 その結果、製品の世代交代のひんぱつな変化に比べ、技術進歩は、必ずしも歩応していない現状が生れるに至っている。ここに、産業としての情報処理・コンピュータ「産業」の振興と、技術進歩の乗離が生れ、一部の技術展開に、みられるように、すぐれた情報処理技術が、必ずしも、継続的に発展できる状態になっていない。この問題は、ひるがえって、情報処理技術の発展と社会的構造の間での問題として表われるに至っている。この点は、情報処理政策の今後の課題として、すでに提起されたとみなせよう。
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Research Products
(1 results)