1995 Fiscal Year Annual Research Report
中小都市及び低次中心地の停滞・衰退とその経済的基盤
Project/Area Number |
06680143
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森川 洋 広島大学, 文学部, 教授 (70040706)
|
Keywords | 支店 / 水平的連結関係 / 情報交換 / 県庁都市 / 事業所サービス業 / 広域中心都市 / 管理領域 / 地域的都市システム |
Research Abstract |
Geogr.Rev.,Japan,Vol.68(Ser.B)に発表した昨年の成果を踏まえて,同様の観点から熊本県の実態を調査しているが,より重要と思われる問題がみつかったため,その研究をさきに報告した.第1は広島市の企業支店調査である.この研究を行う動機となったのは,昨年の研究において広島市のような拠点都市が大企業の支店と地方企業の本所の接合地点としての役割を果たすことによって大きく発展していると考えたからである.広島市に立地する卸売業と事業所サービス業の支店にアンケートを配布し回答を得た約530社について分析した結果,(1)卸売業支店は主として高度経済成長期に立地したのに対して,事業所サービス業は1980年以後に進出している.(2)支店の管理領域は中国地方全域や西中国を主としており,1960年頃の卸売商圏に比べて支配圏がやや拡大したとみられる.(3)支店の人事交流においては本社のある東京・大阪との関係が強く,同格以上の都市との交流が多い.情報交換においてもよく似ているが,商取引においては管理領域内の主要都市との関係が強い.この研究は『人文地理』に投稿中である.第2は,わが国主要都市における企業活動と都市システムとの関係の変化をみるために,1981〜91年の事業所統計から分析したものである.その結果,(1)主要都市の企業従業者の増加率は人口増加率と密接な関係をもっており,支店立地は地方都市経済においても重要な役割をもつ.(2)国土の縁辺部にある主要都市では3大都府県企業の支所従業者比率がやや低下するが,広域中心都市の企業が肩代りするため,地元企業の比率が高まる傾向は顕著とはいえない.(3)この10年間には広域中心都市よりも県庁都市の方が連結関係を強化しており,東京大都市圏の企業的成長率はやや衰えている.したがって,最近における東京大都市圏の転出超過への移行はこうした企業従業者の動向と無関係ではないように思われる.『地理科学』の次号(4月)に刊行予定.
|
-
[Publications] 森川 洋: "changing Regional Urtan Systems in Hiroshima Prefecture" Geographical Review of Japan. 68B. 1-22 (1995)
-
[Publications] 森川 洋: "わが国主要都市における企業活動と都市システム-1981〜91年事業所統計の分析から-" 地理科学. 51(印刷中). (1996)
-
[Publications] 森川 洋: "広島市に立地する卸売業・事業所サービス業支店の特性" 人文地理. (投稿中).