1994 Fiscal Year Annual Research Report
算数・数学学習における子供のミスコンセプションを解消する授業モデル
Project/Area Number |
06680228
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
鎌田 次男 秋田大学, 教育学部, 助教授 (90185976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湊 三郎 秋田大学, 教育学部, 教授 (20042278)
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Keywords | ミスコンセプション / 授業モデル / 教材開発 / 認知構造 / 逐語記録 / 認知的葛藤 |
Research Abstract |
この研究は算数・数学学習において生じる子供のミスコンセプションを解消するための授業モデルの構築をめざすもので,平成6年度は2年継続の1年目に当たる。 〈平成6年度の研究経過および研究成果〉 小学校・中学校の先生から得た情報をもとに,ミスコンセプションなるものをとらえるための調査問題を開発した。調査問題はtypelとtype2が対となっている。type1は、既存の認知構造を適用して解決できる問題であり、type2は,typelと類似する文脈であるが既存の認知構造とはずれが生じるような問題である。 調査問題を実施した結果,思考の対象に関わる過程,あるいは思考展開の過程で複数の者に共通するミスコンセプションが存在することが見いだされた。このことは,ミスコンセプションなるものを否定的にとらえるのではなく,むしろ肯定的にとらえて積極的に学習の場に出し,ミスコンセプションなるものを解消するという授業モデルが必要なことを示唆するものといえる。 また,ミスコンセプションの生成過程,およびその解消過程の実態をとらえるために抽出児を対象とするプロトコール(逐語記録)を実施した。提示する問題はコンピュータ,OHPを用いて開発された教材である。この場合,ミスコンセプションの生じている子供の思考過程が把握できるように,複数の解決方法をコンピュータに記憶させ,彼らの要求に応じるようにした。 プロトコール分析から得られた知見は,ミスコンセプションの生じやすい子供は,問題の文脈を分析・総合する過程よりも,解き方・答に注意を向ける傾向が強く,しかも,一旦生成されたミスコンセプションは,解消されたように見えても時間の経過に伴ってまた現れる傾向が強いということである。一般に,ミスコンセプションを解消するための指導は個別的になされるのがよいとされるが,プロトコール分析結果は,個別指導よりも,授業における子供間の考えの対立・緊張過程を経てミスコンセプションを解消する方が望ましいという方向を暗示するものである。
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